タグ:まめ知識 ( 4 ) タグの人気記事

カナディアンロッキーに生息するクマを知ろう!

d0112928_02160013.jpg
皆さんこんにちは。ヤムナスカガイドの植木です。

皆さんは、カナディアンロッキーを代表する動物と聞くと、何を連想しますか?
いままで数多くの方をカナディアンロッキーにご案内してきましたが、
まず一番に名前が上がるのは、やはりなんといってもクマ(BEAR)ですね。
d0112928_02503271.jpg
カナダではこの写真のように、道路脇でクマに遭遇することも珍しくはありません。

そこで、今回はカナディアンロッキーに生息するクマの種類、生態、そして遭遇しないための、まめ知恵をご案内しましょう!

d0112928_05435728.jpg
(1)
d0112928_05435631.jpg
(2)

 カナディアンロッキーには上の2種類のクマが生息しています。皆さんは違いは分かりますか? 上(1)が『グリズリーベア』、下(2)が『ブラックベア』でして、カナダ全土で生息する個体数は、ブラックベアの方が多いです。


 それではまず、ブラックベアーからご紹介しますね。

d0112928_08022200.jpg

ブラックベア
American black bear/クマ科クマ属アメリカグマ

 体長140㎝~180㎝、体重250前後、大型になると約400㎏とかなり大きいですね。生息地域は、北はアラスカからカナダ全域の森林地帯、南はメキシコまでと非常に広範囲です。北アメリカには、およそ60万頭、そのうちカナダには38万頭以上が生息していると言われています。カナディアンロッキーの4つの国立公園に生息する個体数を見ていましょう。バンフ(20~40頭)、ジャスパー(約90頭)、ヨーホー(20~50頭)、クートニー(30~50頭)。合計で約200頭前後の生息が確認されています。

d0112928_02503383.jpg

 3~4歳になると出産ができるようになり、おおよそ2年に一回、2頭前後の出産を行います。ブラックベアは雑食ですが、主に植物の根、草、実を好むことが多く、獲物を捕まえて食べることはほとんどしません。一年の食事で、およそ85%は植物が占めているそうです。

  ちなみに、「クマを見たら木に登れ!!」ということを聞いたことありませんか?

d0112928_07303966.jpg

 実はブラックベアは木登りが得意です。爪が短く、しっかりと幹を捕まえてひっかけられるような形になっているのです。ブラックベアを見かけたら木の上に逃げるは止めましょう(笑)

 一方、グリズリーベアはを見てみましょう。

d0112928_02503321.jpg
グリズリーベア
Grizzly bear/クマ科クマ属ヒグマ亜種ハイイログマ

 最大級の個体は体重が450kg以上に達し、ブラックベアより大型となります。生息範囲はアラスカの一部、カナダ東部、南はメキシコ中部までとブラックベアと生息域は似ています。しかし、生息数が圧倒的に違います。アルバータ州には約690頭、カナダ全域には2万頭ぐらいしか生息していないそうです。カナディアンロッキーの4つの国立公園内には、バンフ(約65頭)、ジャスパー(約109頭)、ヨーホー(11〜15頭)、クートニー(9〜16頭)の合計で約200頭前後の生息が確認されており、カナディアンロッキーだけを見ると、生息する個体数はブラックベアと同等であると言えますが、グリズリーは移動範囲が非常に広範囲のため、この数は常に変動しているそうです。

d0112928_02503237.jpg

 5~8歳で最初の出産期を迎え、カナディアンロッキーでは4、5年おきに2〜4頭前後の子を産みます。

 グリズリーも雑食であるため、主な食物はブラックベアと似ていますが、特に爪が長く、深く穴を掘ることが可能なため、地中深くにある球根、地リスなどもよく捕食しています。

 また、ブラックベアーと異なるのは、シカ、エルク、ムースなどの大型の動物も獲物として捕食している点で、それゆえにブラックベアーより凶暴な性格と考えられています。しかし、ブラックベアと同様、食物の85%は植物といわれており、それだけ山には多くの植物の食べ物があるということになりますね。

 トレイルでは熊の排せつ物(糞)も見かけますが、晩夏から秋口の排せつ物を見ると、こんな感じで真っ赤な色をしています。
d0112928_08074264.jpg

 特にグリズリーは、秋口になると冬眠のためにたくさんの木の実を食べ、いわゆる「過食症状態」になり、一日に20時間以上は食べ続けているという結果があるそうです。
d0112928_08244073.jpg
 ところで、クマがサケを食べているシーンは有名ですね。北海道でも昔はクマの彫り物といえば、サケを咥えている姿でした。カナダでも海沿いの河川にはたくさんのサケが遡上し、それを捕食するクマの姿がよく見かけることができます。

 しかし、カナディアンロッキーは海まで約1000㎞離れており、途中いくつもの高い山脈がそびえています。実際のところサケが遡上するエリアは少なく、残念ながらカナディアンロッキーでサケを捕まえている場面には遭遇しません。

d0112928_02122490.jpg

 さて、最後にクマと遭遇しないためのちょっとした知恵をご紹介しましょう。

 まず、クマは基本的に憶病です。それゆえ、基本的にクマも人間とは遭遇はしたくはないのです。熊の嗅覚は人間の数十万倍ともいわれているので、だいぶ遠くからでも人間のことには気づいています。そして、聴覚も鋭いので、音を立てているとクマの方から近づいてくることはありません。しかし、風向き、周辺の環境などでは、人間の方が先に発見することも珍しくはありません。そのために、いくつか代表的な「クマからのサイン」を知っておくと良いでしょう。

 熊が近くにいるサインとして、足跡がありますね。


d0112928_08283888.jpg

 この足跡はかなり新しい足跡であることが分ります。こうした足跡が自分たちの行く先に通じているとしたら、クマを警戒する必要があります。あくまでもクマの縄張りに自分たちがお邪魔しているということを忘れないで、共存することが大切です。

2つ目として、排せつ物です。

d0112928_08335230.jpg

 これは一つ例ですが、いつもこのような色や形をしているわけではありません。たまに熊と馬が似ているときがありますが、よく見ると葉の繊維だけではなく、木の実や動物の毛などが含まれています。

d0112928_08461395.jpg

 こんな感じの時もあるのですが、量が多いので明らかに小型の草食動物の物ではないことが分ります。消化されずに出てきているということは、かなりの量の実を食べているということですね。

 こうした排せつ物を発見した時、まだ乾燥していない、形がしっかりしているものは新しいと判断できます。排泄物があまりにもフレッシュな場合は、クマがかなり近くにいる可能性があります。速やかに退散して、クマの領域を侵さないようにしましょう。

 先にも書きましたが、実際にクマと遭遇しないためは、大きな音を出しながら歩くのが効果的です。

 なお、音といえば「クマ鈴」と言われていますが、実は鈴はあまり効果がないことが分っています。「クマが音に慣れた」という噂がありますが、鈴の波長は自然界にも近いものがあり、実際は効果がないという話や、人工的な音のそばにエサ(人間)がいると判断して近づいてくるなんて話もあります。

 では、何が良いのかというと、「人間の話し声」です。人間の話し声の波長は自然界には存在しないそうで、クマにとっては違和感があると言われています。「森のくまさん」でも歌いながら楽しいハイキングをしましょう。

 そして、クマ撃退用のベアスプレーも、万が一に遭遇した時のために絶対に必要です。もちろん、私たちガイドは常に携帯していますので、ガイドハイキングなら安心ですよ。

 熊をもし見かけたら、十二分に距離をとり、絶対に近づかないようにしてください。

d0112928_08572575.jpg


 これは、すごく危険です!!クマが本気で走り始めたら、絶対に逃げ切ることができません。

 最後に一つ。ガイドをしていると、たまにこういう質問をしてくる方がいます。

 「白熊ってロッキーで見れないんですか?」

 確かにカナダには白熊が生息しています。しかし、白熊はホッキョクグマともいうだけあって、北極圏だけに生息している動物で、残念ながらカナディアンロッキーにはいません。北極熊を見たい方は、ぜひ北極圏のツアーに行きましょうね。

 ちなみに、ブラックベアの変異したカーモードベア(スピリットベア)という種類もカナダには生息しています。劣性遺伝子を持つブラックベア同士が交配すると、白いブラックベアが生まれるといわれています。BC週には実際に2000頭ほど確認されていますが、これは白熊ではなく、ホッキョクグマとは別種ですのでお間違えなく。また、カナディアンロッキーではいまのところ正式には確認されていません。

 クマのことが少し分かっていただけましたでしょうか?
 カナディアンロッキーではクマは決して珍しい動物ではありません。

 幸いカナディアンロッキーでは、クマによる被害の報告はここ20年以上ありませんが、それでも動物園のクマを目の前で見ただけでも恐怖を感じるので、まずは遭遇を避けるのが第一、そしてその知識をもって山に入ると、より安全な登山を楽しむことができます。

 皆さんもクマには十分に気をつけてください。


ヤムナスカ・ガイド植木 正幸 (うえき まさゆき)
ガイドプロフィールはこちらから


by ymtours | 2018-07-13 03:05 | 山旅の豆知識や魅力 | Comments(0)

目から鱗、軽量バックパッキングの話

d0112928_03253222.jpg


 こんにちは、ヤムナスカ、バックパッキング推薦委員の植木です!!

 突然ですが、皆さんは「バックパッキング」という言葉をご存知ですか? バック(Back=背中)にパッキング(Packing=荷作り)するという意味があり、荷物を背負って歩くことを指します。背負って歩くといっても、日帰りハイキングや縦走もすべてこれに当てはまりますね。そこで、今回はバックパッキングという山行スタイルについて準備や道具の話を書きたいと思います。

 北米では、深い山奥にテントや食料などを担いでキャンプをしながら山歩きを楽しむことを、バックカントリー・バックパッキングといいます。近年、道具の進歩によって軽量、コンパクトな商品が増えてきました。でも、いざ道具を揃えようと思っても、何をどう購入していいのかは難しいものですね。そこで、今日はカナダの山岳ガイドがいつも持っているバックパッキングの道具を紹介したいと思います。

 じゃーーん。これが私の必須アイテムです。

d0112928_08092370.jpg
 私の場合、いかに軽くするかという「軽量化」がポイントになるため、テントの代わりにタープを使います。軽くて小さいタープは、雨の少ないカナダの夏のキャンプには最適です。テントについても後ほど紹介しますね。

 寝袋

 次はキャンプの必須アイテムである寝袋(スリーピングバッグ)です。

d0112928_08111642.jpg

 写真の物はスリーシーズン用で、材質はダウンの物を使用しています。これはコンフォート温度で「マイナス3度」、リミットで「マイナス9.5度」対応のもので、重量は1.1kgのものですが、実はこの対応温度は鵜呑みにできません。これは個人差があると思いますが、私の場合、大体コンフォート温度に「プラス7度」をした温度が快適な温度と考えています。この場合ですと、外気温が「プラス4度」ぐらいが快適に使える気温ということですね。

 カナディアンロッキーの場合、真夏で天気が崩れると気温は一気に冷え込み、標高2000mを超えた山域では朝晩の気温が氷点下になることもありえます。コンフォート温度で「マイナス5度」ぐらいのものがあると安心ですね。特に、6月とか9月にキャンプに訪れる予定の方は、これくらいのものが必要です。カナダはとても乾燥していて一日の寒暖差が非常に激しく、朝晩は本当に冷え込みます。

 さて、この寝袋をこのままの状態で持っていくと、600mlの燃料ボトルと並べても遥かに大きくなりますね。バックパッキングの道具は...

 1:できるだけ軽量
 2:できるだけコンパクト
 3:できるだけ単純な設計

 この3つは本当に大切で、もちろん寝袋も同様です。1と3はまあクリアしているとして、収納時の大きさが寝袋の難点。そこで、私はこうしちゃいました!!

d0112928_08080670.jpg

 圧縮バッグでコンパクトにすると、ダウンの寝袋はこんなにも小さくできるんですね。これだけ寝袋を小さくすることができれば、コンパクトにバックパックに詰め込むことができるようになります。これによりバックパック自体の容量サイズも小さくすることが可能となり、もちろんバッグパックが小さくできればそれだけ全体の重量も軽くなります。


ストーブ(コンロ)

次に重要なのが、ストーブ(コンロ)です。

d0112928_08083496.jpg

 お湯を作るとき、調理をするとき、時には暖をとるときの必須アイテムですね。ホワイトガス(液体燃料)タイプと、LPガス(プロパン)タイプが一般的ですが、私はホワイトガスタイプをメインに使っています。毎回、山行に合わせて必要な量の燃料を調整して持っていけるのがメリットですね。夏場なら1日150mlを目安にします。4日の山行の場合は600mlを持っていく計算です。万が一の時に備えて修理キットは必ず持参します。

d0112928_08083599.jpg

 私はお客様をご案内するガイド山行の場合、必ずホワイトガスタイプの他に予備としてLPガスタイプのものも持参します。これは、燃料コンロが致命的な故障、または燃料漏れなどで足りなくなった場合にLPガスを持っていると安心だからです。また、LPガスタイプは着火が簡単なので、さっと火をつけたいときは便利ですね。 たしかに重量が加算しますが、プロガイドとしては安心、安全のために欠かすことは出来ません。


コッヘル(ポット)

 これもまた大切なアイテムです。 写真のものは1~2人用で、800ml前後の容量になります。

d0112928_08080579.jpg
 大きすぎず、小さすぎないサイズであり、これ一つでお湯を沸かしたり、コーヒーを飲んだり、ラーメンを作ったり、主食のお米を炊いたり、あらゆる調理はこれで一つで賄うことができます。
d0112928_08332298.jpg

 よく見るとジェットボイルのように底面に網目の板がついていますが、これによって熱効率を高めて燃料を節約することができます。燃料が節約できる=軽量化ができるというわけです。


浄水器(ウォーターフィルター)

 バックパッキングに必要な全日程分の水をもって行く人はいないと思いますが、山行中はどこでも綺麗な飲料水が手に入るとは限りません。

d0112928_08083563.jpg
 湖のほとりや川原でテントを張り、水を補給するときもあるでしょう。そんな時、直接その水を飲むことは時には人間にとっては害になる成分が含まれていることがあります。そこで必要になるのがフィルターのついた浄水器です。写真のものは手のひらサイズで重量115gという軽量タイプです。故障の心配も少なく非常に気に入っています。


さて、次はこちら。

d0112928_08080549.jpg

 これが何かわかりますか?

 大きさの参考までに、ボトルを置いてみました。大きさはこんなもんです。

d0112928_08080518.jpg

 じつはこれ、携帯型のザブトンマットです。濡れた地面、雪の上、でこぼこの地面に直接座ると濡れたり、お尻が痛かったりという経験はありませんか? これがあるとそれらすべてが解消されるだけではなく、保温効果もあります。寒い時は地面からの冷気を遮断し、おしりがホカホカと暖かくなります。また、枕の代わりにもなる優れものです。しかも100gくらいしかないため、超軽量で良いことづくしのお気に入りアイテムです。


救急道具

 次に、救急道具です。怪我や重傷の時など、すぐに病院へ行ける街中とは違い、山奥ではその場での応急救護がとても大切となります。

d0112928_08080596.jpg
 包帯、ギブス、バンドエイド、痛み止め、熱さまし薬、シップ、消毒液、などなど山で起こりえる怪我、病気に備えて一通り持っていきます。 応急処置ができた事によって、痛みが軽減したり、感染を予防できるといったメリットが大きいです。



テント

 最後にテントを紹介しましょう。天候が良く、暖かいキャンプで、1泊程度の時はもっていきませんが、それ以外のほとんどの時は必ず持っていきます。でも重くて大きくて嫌ですよね。私の持っているテントは2人用テントのMSR ELIXIR 2 で、このくらいの大きさです。

d0112928_03314717.jpg
 大きさの目安として、またまたボトルを置いてみました。重量は2.77kgと少々重たいのですが、快適な居住空間と、壊れない構造、風に強い設計であることが重要なポイントです。テント類は大きさがかさばるため、バッグパックの外に括り付ける人もいますが、バッグの中に収納した方が背負ったときに安定します。

 そこで、このテントも寝袋と同様に圧縮しています。それがこちら。

d0112928_08080764.jpg


下の写真のように、圧縮前はザックに入りきらないサイズですが、


d0112928_08483747.jpg

圧縮後にはこんなにスペースができるほど小さくなります。

d0112928_08483871.jpg
 でも、濡れたテントをバッグに入れたくないな~ なんて思っていませんか? 大丈夫、テントが入っている圧縮バッグは、See To Summit社の防水バッグを使っています。ゴミ袋にテントを入れても大丈夫ですよ。

 もちろん小さくしたからと言っても重量は変わりません。しかし、スペースができたということは、それだけ小さいザックを使うことが可能で、結果的に軽くなります。


こんな感じになります。
テントポール(赤い袋)はサイドに括り付け、マットは逆サイドまたは上に括り付けるとコンパクトに収まります。

こうして3泊分の食料も含め、テントも寝袋もコンロもすべて入れて60Ⅼのバッグに収まりました。

そして、気になる重量は



d0112928_08080686.jpg

12kgです。

 いかがですか? 快適で安全なバックパッキングを楽しむために、これだけの装備でこの重量は納得じゃないですか? これに水1.5Lと着替えと防寒着と行動食を合わせて、約15kgでした。軽量であるということは、怪我の防止、体力の温存ができ、結果快適な山行につながります。私達ガイドは、お客様の安全を第一に考え行動する必要があります。それには装備が軽量であることは非常に重要な要素です。

 広大なカナダの大自然を楽しむにはバックパッキングが最適。もちろん初心も大歓迎です。ぜひ、カナダでバックパッキング・デビューをしませんか? 皆さんのお越しをお待ちしています。

ヤムナスカ・ガイド植木 正幸 (うえき まさゆき)
ガイドプロフィールはこちらから


by ymtours | 2018-03-14 00:43 | 山旅の豆知識や魅力 | Comments(0)

カナダの名峰を紹介 マウント ロブソン - Mount Robson(3954m)-

d0112928_04492571.jpg

 皆さん元気ですか! ヤムナスカの石塚です。
 今回は名峰紹介シリーズと題して、カナダの代表的な山の一つをご紹介します。

d0112928_01434130.jpg
 重厚な山容と眼前に迫る存在感。素晴らしいですね。この山がカナディアンロッキーの最高峰『マウント ロブソン』です!

標高は3954m!

 柵越し(サクゴシ)に見るマウント ロブソンと覚えると良いですね。

 マウント ロブソンはジャスパーから西に約100km、車で1時間ほど走った先のブリティッシュ・コロンビア州に位置しています。マウント ロブソンの一帯はマウント ロブソン州立公園として自然公園に指定されており、1990年にはユネスコの世界自然遺産にも登録されました。ロブソン周辺には街がなく、山の展望が良い場所に「観光案内所」が建つのみですが、ロッキーの最高峰を眺めるために多くの観光客が訪れる場所となっています。

d0112928_01542356.jpg
 ロブソンはたとえ快晴の日でも山頂だけは雲に隠れることが多く、『クラウドカップ・マウンテン』なんて呼ばれることもあるんですね。初めて訪れた時に綺麗に山頂まで眺めることができたとしたら、とてもラッキーだと思います。

d0112928_02031433.jpg

 ロブソンの初登頂は1913年3月。オーストリア人の登山家で山岳ガイドである「コンラッド・ケイン」により、彼の案内するカナダ山岳会の登山隊と共に達成されました。ちなみに上記の写真は、ヤムナスカガイドの篠崎ヒロがロブソン登頂に成功した山行時のものです。頂上まではあと30分ほどの最後の稜線になります。すごい景色ですね。
d0112928_04493472.jpg

 初登頂時の登山隊の記録は、当時の装備とともに観光案内所の地下に展示されています。この時に使用された登山装備は、現代のものと比べると信じられないほどに簡易的なものでしたが、昔の登山家の精神力や気力の凄さを感じずに入られません。

d0112928_04500456.jpg
 現在では山の北面側へのアプローチも容易になり、ヘリコプターで荷物を運びロブソンパス キャンプ場まで簡単に行くことが可能となりました。

d0112928_06014060.jpg
キニーレイク湖畔

 ロブソンエリアの大自然を楽しむには、何と言っても日帰りハイキングとバックパッキングが一番ですね。観光案内所から車で5分ほど北に走るとトレイルの入り口となる登山口があります。ここからロブソン北面側の山麓に佇む氷河湖「バーグレイク」まで伸びる一本のトレイル「バーグレイク トレイル」は、ロッキーを代表するロングトレイルと言えるでしょう。登山口から5kmほど先にあるキニーレイク(Kinney Lake)湖畔までの日帰りハイキングは、最も手軽なコースとして人気があります。

d0112928_04494562.jpg
 キニーレイクからさらに先のエリアまで足を伸ばすには、キャンプ道具や食料を持って歩くバックパッキングの準備が必要となります。キニーレイクの流れ込み付近から、トレイルはさらに標高を上げて山深くなっていきますが、途中には「エンペラー・フォールズ」のような豪快な大瀑布の景観も待っています。
d0112928_07202885.jpg
ロングトレイルの終着点であるバーグレイク湖畔を高台から撮影。
   
d0112928_04502209.jpg
 バーグレイク キャンプ場から先のルートは一部不明瞭な登山道がつづき、特にマウント・ロブソン北壁とロブソン氷河を一望できるスノーバード パスまでは上級者ルートとなっています。
d0112928_02263203.jpg
スノーバード・パスから眺めるスノーバード氷原。

d0112928_04492143.jpg
マウント ロブソンの北面は旅のクライマックス。巨大なロブソン氷河の展望は最高ですよ。
この時の旅の記録は以下のブログからご覧にただけます。

森様、谷村様とロブソンバックパッキングの旅



d0112928_06211288.jpg
 皆さんもロブソン山麓を満喫するロングトレイルの旅へ出かけませんか?
ご興味のある方はヤムカナのツアーカタログにある「ロングトレイル」のページをご覧ください。この夏はカナディアンロッキーの最高峰マウント・ロブソンへ出かけましょう!



by ymtours | 2018-03-08 02:44 | 山旅の豆知識や魅力 | Comments(0)

登山、ハイキング、トレッキングは違うもの? 〜 英語でHIKINGの意味するところは、日本のそれと少し違います。

d0112928_03030463.jpg
 皆さん元気ですか! ヤムナスカ ガイドの石塚です。

 先日、我が社の山旅専門サイト『ヤムカナ』のツアーカタログページが一新され、生まれ変わったのはご存知ですか? いろいろと試行錯誤をした結果、カテゴリーごとに分類した方がより希望のツアーを見つけやすいのでは? ということで、今回は新しいカテゴライズにしてみました。皆さんの反応がいまから楽しみです。 さて、話しは本題に入りますが、実はこの仕事の製作会議の席にて新人スタッフの一人がこんなことを言いました。

 「皆さん、先ほどから”日帰りハイキング”と言っていますが、そもそもハイキングって日帰りですよね? しかも 比較的に簡単な山歩きってことじゃないですか??」

 なるほど。たしかに日本で言うところのハイキングのイメージはこんな感じかもしれません。しかし、北米(カナダ、アメリカ)でいうところの HIKING はちょっと違います。


そもそもHIKINGは日帰りなのか?

d0112928_08562586.jpg

 私の意見としては、英語でもただ HIKING と言った場合、やはり1日の山歩きをイメージするように思います。しかし、数日にわたって歩く場合に使う言葉でもあるのもたしかです。ちなみにウィキペディアではこのように表現されています。


Hiking is the preferred term, in Canada and the United States, for a long, vigorous walk, usually on trails (footpaths), in the countryside, (省略)......A day hike refers to a hike that can be completed in a single day.


 簡単にポイントのみを訳しますと、カナダやアメリカ(北米)では、Hikingという言葉は主にトレイルを使うロングウォークを意味しており、山に限らず田舎道などを歩くこととあります。実はこの言葉自体には1日や日帰りという意味は含まれていないのです。なので、英語では1日のハイキングや数日のハイキングを区別して、1日ハイキングを『Day Hikng』と言い、複数日で行うハイキングを『Multi-Day Hiking(マルチデイ ハイキング)』なんて使い分けるのが一般的なんですね。

d0112928_08215645.jpg

バックパッキングとは?

 複数日で行う山歩きに使う他の言葉としては、『バックパッキング(Backpacking)』がありますが、これはハイキングとは別の一つの独立したアクティビティーを指しているものです。バックパッキングとは、バックパックにテントや食料などの数日の旅で必要なものを全て詰め込み、定めらたロングトレイルを歩く遊びであり、基本的にはキャンプをしながら山歩きを楽しむことです。一方、マルチデイ ハイキングは、例えば山小屋を使いながら数日にわたって山歩きをする時などに使われることが多いですね。

d0112928_08390204.jpg
バック一つで山奥に入る。バックパッキングは実に北米らしい山の楽しみ方の一つと言えます。


トレッキングとは?

 では、トレッキングとは何でしょうか? 日本では簡単な散策がハイキングで、トレッキングのほうがより長く本格的な山歩きというイメージがあるような気がします。ちなみにウィキペディアを見てみますと、以下のように記述があります。


Trekking is the preferred word used to describe multi-day hiking in the mountainous regions of India, Pakistan, Nepal, North America, South America, Iran and in the highlands of East Africa. Hiking a long-distance trail from end-to-end is also referred to as trekking and as thru-hiking in some places. In North America, multi-day hikes, usually with camping, are referred to as backpacking.


 こちらも簡単に訳しますと、トレッキングとは、主にインドやパキスタン、ネパール、北米、南米などの山野を歩くマルチ デイハイキングのこととあります。また、北米ではトレッキングの代わりにバックパッキングを使うことが一般的であり、スルーハイキングという言葉も同様の意味で使われるとあります。

 だいたい分かっていただけましたでしょうか? 最後にヤムナスカの広報を担当しているカナダ人、シルビアにもこれらの言葉の違いを聞いてみました。
d0112928_08035134.jpg
 「ただ単にハイキングといったら、やはり1日の山歩きというニュアンスがあるかもしれないわ。ただし、数日にわたって歩く山歩きでもハイキングという言葉は使うわ。一方、トレッキングといったら先にマルチデイの山歩きをイメージするわね。トレッキングとバックパッキングは同じような意味で使うことが一般的よ。」by シルビア


 ふむふむ。ウィキペディアと同じですね。まとめると、ただ単にハイキングと言った場合は、日本でもカナダでも一日の山歩きの意味として使われることが一般的となります。ただし、それは必ずしも一日だけのものを意味しているわけではないので、英語の Day Hiking を意味する言葉として『日帰りハイキング』という日本語は適切ということになりますね。
d0112928_08204911.jpg
「ラーチバレー」は、ロッキーを代表する日帰りハイキングコースの一つ。


では、次の問題に行きましょう。


果たしてHIKINGは簡単な山歩きなのか?

d0112928_08414096.jpg

 ハイキングは1日の山歩きだとしたら、日本語と英語の意味するところはほぼ同じと言うことになります。しかし、ここからが違うのです!



 実は英語では、たとえ簡単であっても、とんでもなく難しくても、
トレイルのみを使って歩く山歩きは全部ハイキングと言うのです。


 日本には簡単でも難しくても、手を使って鎖場を歩こうと、ロープ(ザイル)で結び合おうと、山に登ることを「登山」と一括りで使える便利な言葉があります。しかし、英語ではこの辺りの言葉が明確に別れています。『Hiking』といった場合は、トレイルを使って足のみで歩く山歩きのことであり、一方、『Climbing(クライミング)』というと基本的にロープを使う登山のこととなります。では、ロープを使うほどではないけど、手を使わないと行けないような山歩きは何と言うのでしょうか? これを英語では『Scrambling(スクランブリング)』と言います。

d0112928_08423705.jpg
ヤムナスカガイド1のクライマー 谷剛史。もちろんこれはクライミングですね。

d0112928_08445205.jpg
マウント ヤムナスカ登頂コースにある鎖場。こちらはスクランブリングということになります。

d0112928_08455948.jpg
レイクルイーズエリアの最高峰「マウント テンプル」もスクランブリングで登頂が可能。
眼下にはモレーンレイクやテンピークスを含む大絶景が広がります。


 話しをハイキングに戻しましょう。手を使わずにトレイルを使って歩く山歩きはすべてハイキングですので、たとえガレ場が長く続こうと、片道10時間以上も歩かないと山頂にたどり着かない山であろうと、そこにトレイルがあり、手を使わないで歩く山歩きは全部ハイキングなのです。

 カナディアンロッキーの山々は総じて鋭く聳えているため、山頂まで行こうとするとクライミングやスクランブリングでなくては辿り着けないような山がほとんどです。しかし、数は多くないものの、中には山頂までトレイルが続き、ハイキングとして登頂ができる山もあります。レイクルイーズエリアにはる『Fairview Mountain(フェアビューマウンテン)2744m』がその一つですね。

d0112928_08485218.jpg
フェアビューマウンテンの山頂

 フェアビューマウンテンのコースデータは、往復10km。標高差は約1000mと中級レベルのコースとなりますが、トレイルがしっかりしているので、コンディションが良ければ往復6時間ほどで歩くことが可能です。山頂からの景色は本当に素晴らしく、目の前には3400mを超える名峰マウント ビクトリアやレフロイなどの氷河を抱いた山々が聳え立ち、360度の大パノラマを楽しめます。


d0112928_08522353.jpg
ウエスト ペイトーピーク


 他にもオススメの登頂コースはありますが、なかでも個人的に最も素晴らしいコースの一つと思えるのは『ウエスト ペイトーピーク』です。道路からアクセスはできない山域にあるため、通常は日帰りで行ける山ではありませんが、実はミスタヤロッジに宿泊すると日帰りハイキングが可能となるのです。コース難易度は高く、標高差850メートルの登りは、ほとんどがガレ場、急登も多く、健脚向きのコースですが、山頂からはワプタ大氷原を見下ろす景色が広がり、本格的なアルパインクライミングでしか見れないような壮大なロッキー山脈の景色を楽しむことができます。



オフトレイル ハイキング

 最後に一つ、北米ではトレイルを外れて道無き道を歩くハイキングも楽しめますが、これは『Off-Trail Hiking(オフトレイル ハイキング)』と言います。国立公園では自然保護の規制が厳しく設定されているために登山道から外れて歩くことはできませんが、年間に訪れる人の数も少ない一部の州立公園や自然公園では、登山道を外れて歩くことが許されています。これらのエリアでは、たとえ人が植物を踏みつけたとしても、自然が自らの力で十分に再生できると考えられているためです。一面のお花畑や草原を歩くハイキングは、まさに北米ならではの贅沢なハイキングと言えますね。

d0112928_08534169.jpg
ミスタヤロッジのエリアはオフトレイル ハイキングの宝庫


d0112928_08182454.jpg

いかがでしたか? ハイキングとトレッキングの違いや、日本と北米でのハイキングの使われ方の違いなどが分かっていただけましたでしょうか? ハイキングは、この広大なカナダの大自然を最も手軽に体感できる手段の一つ。カナダにお越しの時はぜったいにハイキングを楽しみましょう。新しくなったヤムナスカのツアーカタログでは、カテゴリー、分野ごとに様々なコースを紹介しています。よろしかったら是非ご覧ください!
 


by ymtours | 2018-02-01 03:00 | 山旅の豆知識や魅力 | Comments(0)