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世界屈指のオーロラ撮影スポット『カナダ、クルアニ国立公園』が如何にオーロラ撮影地として優れているのか!? 余すことなく解説しましょう。

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 オーロラファンの皆さんこんにちは! ヤムナスカの堀口です。11月も下旬となり、私の住むホワイトホースの町は完全に冬景色となりました。早いもので2018年も残り一か月ほどに迫ってましたね。皆さんはいかがお過ごしですか?

 私は今年に撮りためた膨大なオーロラ写真を整理する日々を過ごしています。オーロラはまるで生き物のように目まぐるしく変化するため、夢中で撮影しているとついつい連写してしまい、物凄い撮影枚数になってしまうんですよね。しかし、それでも自分の納得のいく1枚が取れた時の喜びは本当に嬉しいもの。撮影好きの方ならきっと共感してもらえることだと思います。

 オーロラの撮影って結構奥が深いんですよ。上空に凄いオーロラが出ているからといって、素晴らしい写真になるかというとそんな簡単な話ではないんですね。もちろんオーロラの強さも大切ですが、何と言っても大切なのは撮影地のロケーション。これは自身を持って断言できます!  

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 こちらの写真は私たちヤムナスカのスタッフが撮影した写真で、私も大好きな作品の一つ。雄大なカナダの山岳風景とオーロラ、そして星の輝きがミックスした見事な写真と思いませんか? オーロラだけなら世界中のオーロラ鑑賞地であればどこでも撮影できます。しかし、山岳風景とオーロラを一緒に写真に収めるとなると話は違います。そして、こんな夢のような撮影スポットこそが、カナダ、ユーコン準州にあるクルアニ国立公園なのです。
 
 そもそもクルアニ国立公園とは一体どこにあるのでしょうか?
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 クルアニ国立公園は、北米3大オーロラ鑑賞地の一つであるユーコン準州、ホワイトホースの町から西に約200kmに位置し、アメリカのアラスカ州と隣接する広大な山岳エリアです。ちなみに赤いマークのついた辺りが、上の写真を撮影した場所となります。

 真っ白に覆われた広大なエリアが目につきますが、実はこれらはすべてが氷! 氷河と氷原に覆い尽くされたエリアなのです。カナダの最高峰であり、北米でも第2位の高さを誇るマウント・ローガン (5959m) を頂点に、5000m級の山々が連なる広大な山岳地帯です。そして、このクルアニ国立公園に隣接するランゲル・セントアライアス国立公園、タットシェンシーニ・アルセック州立公園、グレイシャー・ベイ国立公園の4つの公園を合わせたエリアが UNESUCOの界自然遺産 に登録されています。

 世界遺産とオーロラ。撮影好きな方にとってはたまらないロケーションとは思いませんか?

 そこで、今回はクルアニ国立公園を舞台として、山岳風景とオーロラ撮影のテクニックやポイントを解説しましょう。

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point1:宿泊場所を選ぶ。

 まずは撮影の拠点となる宿について。クルアニ国立公園は町から200km以上も離れた場所であることを忘れてはいけません。厳しい大自然の中でオーロラを撮影するには、滞在する場所の選択は非常に大切です。私たちが選ぶクルアニ山岳エリアでの撮影の拠点となるのが、広大なクルアニレイク湖畔にポツンと建つクルアニロッジとなります。

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クルアニロッジから望む国立公園の山岳エリア。

 オーロラはいつ、どのタイミングで出るかはまったく予測不可能。そのため、オーロラが出現する撮影地の目の前に滞在して安全に待機できることは、これ以上もないほどのメリットとなります。


point2:ロケハンと方位のチェック。

 撮影場所の下調べはとても重要! 夜間、暗い中で行うオーロラ撮影では、日中の明るいうちに撮影地周辺の環境を確認をしておくことがとても大切ですね。夜間、手探りで移動するのは怖いものですが、事前に周辺の環境を見ておくだけで安心感が格段に違うものです。オーロラが出現してくると思われる方位の確認を済ませたら、大体の構図を決めておくのも絵作りのテクニックの一つです。

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 明るいうちに雪の深さや足場の悪い場所をしっかりとチェックし、三脚を立てる場所をある程度決めておくと良いです

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 もちろんオーロラは北の方角に出ることが多いため、撮りた構図の方角を確認することは大切です。方位はスマホのアプリで確認できるレベルで十分。しかし、オーロラ爆発などの強いオーロラが出ると、方位も関係なしに頭上に降り注ぐことも珍しくないですよ。


point3:試し撮りと構図の確認。

 オーロラが出たらいよいよ撮影開始です。しかし、ここからが難しいところであり、最も大切な部分です。明るいうちに構図を決めたとしても、暗い中でファインダーを使いながら構図を確認するのは、なかなか難しいもの。水平の取れていない写真はオーロラ写真で良くある失敗例ですが、せっかくの素晴らしい風景でも下のような写真では台無しです....
 
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 水平を取りながらも山を含めた構図を決めるには、やはり小まめに撮影して写真を確認するしかありません。撮影とカメラモニターでのチェックを繰り返し、欲しいオブジェクトがきっちり入っているかを確認しましょう。



point4:様々な構図に挑戦!

 風景が素晴らしいと構図のアイデアは無限。中でも最も基本となるテクニックは、周辺オブジェクトを活用することですね。あまり風景を入れずにオーロラだけを撮影した場合は、誰がとっても同じような絵になりがちです。しかし、風景写真と同じように周辺の環境をうまく取り入れ、バランス良く絵作りをすると写真に個性が出しやすいですよ。構図のポイントはいくつかありますが、主役のオーロラが写真の7割から8割を占め、残りにオブジェクトが入るようにすると良いです。

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山がない右側に枯れ木が来るように構図を調整。
単純に山岳風景としてだけでも素晴らしい場所ですが、オーロラも合わせて撮影できるなんて凄いことですね。

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こちらは月と山をバランス良く配置した例の一つ。これでも十分素晴らしい写真ですが、何かもう一工夫が欲しいですね。
こういう時は思い切って縦構図に切り替えてみると良いです。

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縦構図にすることで、山の存在感が増したと思いませんか?
オーロラが山に降り注ぐように感じる作品となりました。

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一度構図を決めたら露出を調整しながら何枚も撮影をしてみましょう。
強いオーロラは見る見る変化し、その都度周辺の明るさも微妙に変化していきます。
撮影時間を延ばすことでオーロラが強い光の束のようになり、また違った作風になりますね。

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クルアニレイク湖面から超広角の魚眼レンズでワイドに撮影。
魚眼レンズは撮影範囲が広いため、どうしても余分なオブジェクトが入りやすいのですが、
広大な湖の上から撮影することで、巨大なオーロラの全容を捉えることができています。
これだけの広さで撮影できるのも、クルアニ国立公園の魅力の一つです。


point おまけ:星空とマジックアワーも一緒に楽しみましょう。

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 星空撮影はオーロラ撮影における楽しみの一つ。クルアニの山岳エリア周辺には町はおろか集落なども一切ないため、完全に手つかずの大自然が広がっています。そのためオーロラの発生を待っている間は、満天の星空の撮影で飽きることがありません。

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 オーロラが弱い時は、あえて長時間露光の撮影に切り替えるのもいいですね。こんな時は北極星を見つけて構図に含めながら、長時間のバルブ撮影をすると、想像もしなかったような不思議技な作品ができあがることもあります。

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 素晴らしい風景であれば、やはり自分を入れて撮影したくなるものですよね。世界遺産の山々と星空にうっすらと光るオーロラ。こんな写真が撮れたらインスタ映え間違えなしです(笑) オーロラと人物を一緒に撮影する場合は露光時間の調整が難しいため、少し慣れと工夫が必要です。失敗を恐れずに何度もトライしてみるとよいでしょう。
 

 さてさて、撮影好き、山好きの方はもう気になっていると思いますが、こんなロケーションですから当然朝焼け夕焼けも一級品です。北緯61度という高緯度のこの場所では、マジックアワーと呼ばれる黄昏の時間がとても長いという特徴があります。空や山がピンクに染まりやすいんです。

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 いかがですか。オーロラ撮影地としてのクルアニ国立公園の魅力が伝わりましたでしょうか? アラスカ、北欧、イエローナイフなど、世界にはたくさんのオーロラ鑑賞地がありますが、『世界遺産の山岳風景とオーロラ』というフォトジェニックな撮影が同時にできる場所は極めて稀です。そういう意味では、まさに究極のオーロラ鑑賞地と言っても過言ではないでしょう。

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 オーロラ撮影に情熱を燃やすカメラマンの方々、是非、クルアニ国立公園でのオーロラ撮影に挑戦しませんか? 個人では訪れることの難しい広大な大自然が舞台ですが、私たちヤムナスカと日本のアルパインツアーが共同で作り上げた世界で唯一のクルアニ国立公園オーロラツアーなら、安心してオーロラ撮影に没頭していただけることでしょう。

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ロッジ上空に降り注ぐオーロラ爆発。

 広大なクルアニレイク湖畔に佇むクルアニロッジに滞在し、思う存分にオーロラ撮影を楽しむ。ロッジから一歩外に出るだけで、そこには世界で最も素晴らしいオーロラ鑑賞地が広がっています。最後に、きっちりとツアーの宣伝をして、この記事を締めくくりたいと思います(笑)

大自然に包まれる宿 クルアニロッジ の詳細はこちら。


ヤムナスカ・ガイド堀口 慎太郎 (ほりぐち しんたろう)
ガイドプロフィールはこちらから。


by ymtours | 2018-11-24 09:47 | オーロラの旅 | Comments(4)

カナダでは数少ない縦走ルート。世界一美しい山歩き「エスプラナーデ・トラック」の魅力を大特集!

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 皆さん元気ですか! ヤムナスカの石塚です。こちらの写真は夏のツアー中に、エスプラナーデ山脈の尾根上で『Go-Pro』にて撮影したものです。素晴らしい尾根とは思いませんか? 日本や世界で数々の尾根を歩いてきた自称”尾根好き”の私としても、この尾根の素晴らしさには惚れ惚れしてしまいます。そこで今回は私の大好きなエスプラナーデの山旅の紹介をこれでもか!というほどたっぷりとしちゃいます。このエリアは私も思い入れがたくさんあるので、ちょっとブログも長くなってしまいましたが、みなさん覚悟してください(笑)

 日本人にとってはとても馴染みの深い山旅のスタイルである『縦走』。いわゆる尾根歩きの山行スタイルですが、実はカナダで楽しめる場所が非常に少ないということは、あまり知られていません。カナディアンロッキーエリアの山々は総じて鋭く切り立ち、登山道を整備することが難しいというのも理由の一つ。そのため、ロープやクランポン(アイゼン)が必要な、いわゆるアルパイン・クライミングが必要になってしまうのですね。尾根歩きという山の楽しみ方は、ある意味とても日本らしい山の楽しみ方と言えるのかもしれません。

 しかし!もちろんカナダにもあるのです。そうです。それが『エスプラナーデ山脈』です。見てくださいこちらの写真を↓

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 広々とした尾根、氷河を抱いた3000m級の山々、自分たち以外に誰もいない山域... この場所はカナダにある数少ない尾根歩きの縦走路というだけでなく、世界でも最も壮大で贅沢な尾根歩きが楽しめる山域なのです。

 まず先にご案内しておきますと、この山域は個人で入山することができず、ツアーでないと訪れることができません。そして、この山小屋を利用するツアーが『エスプラナーデ・トラック』となります。

 なぜ小屋だけを予約できないの? という声も聞こえてきそうですが、実はツアーだからこそ実現可能な理由があるのです。そこで、今回はこのエスプラナーデの山旅がなぜ凄いのか? つの理由 に分けて力説したいと思います。

 さて、そもそもエスプラナーデ山脈とはどこにあるのでしょうか?

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 エスプラナーデ山脈は★の場所です。カナディアンロッキー観光の拠点となる町『バンフ』から西へ約200kmに位置しています。カナダの大陸横断道路トランスカナダ・ハイウェイ1号線を利用すると約2時間半ほどの距離ですが、車でアスセスできるのは山の麓までとなります。

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 googleの地形図で見てみましょう。これでもか!というぐらい山脈が広がっていますが、ロッキー山脈やコロンビア山脈が連なるこれら山群全体の大きさを考えると、これでもほんの一部にすぎません。

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 エスプラナーデ山脈は南北に連なる広大な山脈であり、通常は3つの小屋を利用しながら3泊で山旅を楽しみます。出発地は北と南どちらからでも歩けますが、何れにしても始めの小屋まではヘリコプターで入山することになります。

 わざわざヘリで?? と思うかもしれませんが、この山域へ入山するための登山道というものは存在しません。

 そのため、この山域で出会う人というのは、必然的に小屋を利用する人だけということになるのです。そうです!広大なエスプラナーデ山脈全体を、小屋の利用者だけで貸し切ることになるのです。こんな贅沢な山行は世界広しといえどもなかなか聞いたことはありませんね。

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 小屋に泊まれるゲストの最大人数は12名です。この写真のような雄大な景色の世界をわずかな人数だけで独占する。これがどれだけ凄いことか分かっていただけるでしょうか。

 理由1:登山道がない山域なので、ヘリで入山。小屋の利用者だけで山脈全体を独占出来る。

ですね。

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 山域全体が貸切りなので、ハイキング出発前に小屋の目の前でのんびりヨガをしていても誰にも迷惑をかけません。(笑)

 また、この山域は入山する人数が非常に限られていることもあり、人に荒らされることのないピュアな自然が保護されています。縦走ルートにはトレイルの整備されていない場所も多くあり、広々とした尾根を好きなように歩くことが可能なんですね。咲き誇る高山植物を踏みながら歩く経験は、他のエリアではなかなか体験することはできません。

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 高山植物の上に寝そべって昼寝。いくらカナダの山域が広大でも、こんな体験はなかなか出来る場所はありません。


 さて、次に行きましょう。山小屋縦走の旅ですので、やはり寝泊まりする小屋がどんな場所か? これはとても気になりますよね。

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 こちらは1泊目で利用することの多いビスタ小屋。湖のそば建つ可愛らしい小屋です。初日にヘリで小屋に着くと、まずは小屋の使い方を確認します。しかし、3つの小屋はすべて同じ設計となっているため、初日に小屋の利用の仕方を覚えたら、以後はこの時間は必要がなくなります。
 
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(左上)ダイニング (右上)暖炉 (左下)寝室 (右下)トイレ

 それでは、小屋の中に入ってみましょう。1階はダイニング、キッチン、乾燥室などがあり、2階がゲストの宿泊部屋となります。小屋の定員は12名、そこにクックとガイド2名が加わり、最大15名のチームで旅を楽しむことになります。寝室は二人部屋が6室あり非常に快適。トイレは外になりますが、とても清潔で衛生的です。写真のトイレは3泊目で利用するサンライズ小屋のものですが、ここから見る日の出は最高なんですよ。朝焼けの時間帯は大人気のトイレになるのです。(笑) ちなみに夜間は小屋の中に簡易トイレ(小のみ)が設置されるのでご安心を。

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 どうですか!これらの食事! これらは山小屋で提供されるメニューの一例です。 日本の山小屋を知っている方なら、フレッシュな野菜や魚があることに驚くことでしょう。朝は小屋で焼いたパンやマフィン、フルーツ、ヨーグルトなども提供されるのです。
 
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 さらにこの小屋滞在にはもう一つの楽しみがあります。それはサウナ! こちらの写真はビスタ小屋ですが、写真右側にある小さな小屋がサウナです。薪ストーブで暖めるサウナで、お湯を使って汗を流します。「私、サウナは面倒なんでけっこうです...」という方もたまにいますが、「騙されたと思って入ってみてください。絶対に気持ち良いですから!」と私はいつも説明します。そして、皆さんこのサウナの大ファンになって帰っていくのですよ。フフフ...

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 もちろん小屋は貸切ですので、ダイニングでヨガをしても、誰にも迷惑をかけることはありませんね。(笑)


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 ロッキー山脈から上る朝日。朝夕に訪れるマジックアワーや、満点の星空の世界に出会えるのも、町から離れた山小屋滞在の魅力ですね。


 理由2:貸切小屋がとにかく快適。食事、サウナ、どれも素晴らしい! 

 これが2つ目となります。

 
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山頂からロッキー山脈を望む。

 尾根縦走のもう一つの楽しみはピークハントではないでしょうか? もちろんエスプラナーデ山脈にも、いくつか縦走の合間に登頂のチャンスがあります。このブログの初めのほうで載せた山域の地図を思い出してみてください。エスプラナーデの東側には広大なロッキー山脈が南北に連なり、山頂からは上の写真のような景色が待っています。写真の左端に白い丘のような場所が見えますが、実はここがかの有名なコロンビア大氷原の西端です。

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コロンビア大氷原と、左端に見えるのがMt.コロンビア(3747m)
 
 天気が良ければご覧のように Mt.コロンビアもくっきりと見ることができます。ロッキーでは Mt. ロブソンに次ぐ2番目の高さを誇る名峰ですが、有名な観光道路であるアイスフィールドパークウェイからは見ることができないのです。
 
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 写真右奥に聳える山は、エスプラナーデ山脈の最高峰 カポーラ・マウンテン(2650m)

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 カポーラは山頂に上る最後の岩場が急なため、天候などのコンディションが整い、なおかつグループの足並みが揃わないとなかなか登頂するチャンスがありません。登れたらラッキーの山なんですね。私たちはボーナス登頂なんて呼んでいます。

 理由3:縦走中にいくつかピークハントのチャンスがあり、壮大なロッキー山脈の連なりと360度のパノラマが期待できる。

 さて、どんどん行きましょう!

 この山域は知る人ぞ知る高山植物の宝庫。お花好きの方々はもちろんですが、そうでない人もここのお花畑を見ると驚くことでしょう。
 
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盛夏に訪れるカラフルなインディアンペイントブラシの大群落。
 
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(左上)クレーシャーリリー (右上)アネモネ (左下)ジェンティアン (右下)モンキーフラワー
 
 残雪期によく見かける黄色いカタクリやアネモネなどの有名な花々はもちろんですが、宝石のように輝くジェンティアン(ヨコヤマリンドウ)や、モンキーフラワー(ミゾホズキの仲間)などの、ロッキーでもあまり見ることのできない珍しい花に出会えるのも魅力。

 
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日向ぼっこを楽しむマーモット。

 もちろん野生動物も忘れてはいけませんね。大型の動物に出会うことは稀ですが、マーモットやジリスなどに出会うのは珍しくはありません。運が良ければ上空を飛ぶイヌワシにと遭遇することもありますよ。


 理由4:高山植物も盛りだくさん。野生動物も多く生息する大自然を満喫。

 です。


 さあ、いよいよ最後の理由であり、最も魅力的な理由を説明しましょう! それは荷物についてです。
 
 山小屋縦走となると、気になるのは荷物の重量。着替えや必要なものを持ち歩くのは大変なので、山小屋縦走には少し懸念があるという方もいることでしょう。しかし、エスプラナーデの旅は違います! 実は初日の入山日にすべての小屋に荷物を送ることができてしまうのです。

 
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エスプラナーデ小屋 荷物の搬送システム図

 もう少し分かりやすく解説しましょう。 あらかじめ二つ目の小屋、三つ目の小屋で必要な着替えやお酒などの嗜好品を、小分けのスタッフサックなどに分けておきましょう。初日にヘリで一つ目のビスタ小屋に入山しますが、この時に二つ目のメドウ小屋、三つ目のサンライズ小屋行きの荷物を共有の大きなダッフルバッグに詰め込み、ヘリで届けてしまうのです。

 また、小屋を出発する時には、いらなくなった荷物をこやのダッフルバッグに残していくことが可能となります。これらの荷物は最終日のヘリでの下山日に、ヘリが1つ目のビスタ小屋、二日目のメドウ小屋から荷物を回収してくれるのです。まさにエスプラナーデ式宅配システム! クロ○コでも佐○急便でもこれはできませんね(笑)

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 小屋に荷物を送ることで、結果的に軽装のデイパックで縦走が可能となります。日帰りハイキングと同じ重量というわけにはいきませんが、多少の重量の追加で済むのです。

理由5:ヘリでの荷物宅配システムがあることで、軽量の荷物で縦走が可能! 
 
 となります。

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 いかがでしたか? エスプラナーデ・トラックがいかに特異で、素晴らしいツアーであることが分かっていただけたでしょうか? 世界一美しい尾根歩きと呼ばれ、ニュージーランドのミルフォード・トラックと比較されるこのツアー。世界中から参加者が申し込む公募ツアーは、年々に人気が高まって予約時期が早まっています。

 評判というのは大概に大げさのこともありますが、ここは違います。日本では決して体験することのできない壮大で雄大な尾根歩きがであることは間違いありません。日本の北アルプスでの山小屋縦走も素晴らしいですが、是非、カナダの山小屋縦走を一度体験してみてください。想像や期待を遥かに超えた山旅が待っていることをお約束します。

 エスプラナーデ・トラックSPECIAL SITEでは、コースDATAなどが確認できます。
 http://www.esplanadetrack.com

 ヤムナスカのツアー紹介ページもきっちり宣伝しておきましょう!
 http://www.ymtours.com/tour-catalog/tour-MESP/index.html
 ★★先行して2019年の料金が発表されました!★★


by ymtours | 2018-11-16 10:49 | 山旅の豆知識や魅力 | Comments(1)

アルパインガイド谷5年間の軌跡

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こんにちは、ヤムナスカガイドの堀口です!皆さん日本の秋山を楽しんでいますか?こちらカナダでは秋も深まり冬はすぐそこ。そろそろ私たちはスキーやアイスクライミングなど、冬のアクティビティのギアの準備を始めようかというところです!

さて、今回は我々にとってとても嬉しいニュースをお届けします!
この夏にガイドの谷剛士がACMG(カナダ山岳ガイド協会)の超難関のアルパインガイド試験を突破し、ヤムナスカで唯一のアルパインガイド(山岳登攀ガイド)となりました!!

そこで、今回は谷のアルパインガイド資格取得までのステップを、彼の軌跡と共にご紹介します。
私と谷はACMGアプレンティス・ハイキングガイド資格の受講時からの同期で、実は同い年なのです!共に山を舞台に仕事をしながら、彼の生き様(笑)見てきたつもりです。今回の記事はカナダでガイド付きのアルパインガイドに興味がある方はもちろんですが、今後カナダでアルパインガイドを目指したい方が参考にしてもらえれば嬉しいです。

そもそも『アルパインガイド』とは一体どのようなガイドが出来る資格なのか?まずはここからご案内しましょう!

例えば下の写真のような、、

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このような氷河のある地形や高所の岩場、


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垂直の氷瀑を登るアイスクライミング
(クライマー:谷)

このように、夏山、冬山共に高所での岩場、氷壁、雪または氷河の地形をガイディングできるのがアルパインガイドとなります。
もちろんロープ、ハーネス、クランポン(アイゼン)、アックス(ピッケル)等のクライミングギアを用いての登攀、登山です。

特にアイスクライミングの場合、カナディアンロッキーは聖地として知られており、我々ヤムナスカの拠点があるBow Valleyは、とにかくアプローチがとても便利!駐車場に車を停めてたった10分、15分のアプローチで壁に取り付きできるような場所がゴロゴロしており、正にアイスクライマー天国と言っても過言ではないでしょう。

そして、谷は日本人で唯一カナダでこのような地形の山を案内できるガイドとなったのです。

カナディアンロッキーのアルパインエリア(高山帯)はどこへ行っても絶景ですが、何と言っても写真の様にエクストリームな地形が多くなります。そのため安全確保は最大のポイント。従って、ガイド自身体力があることはもちろんですが、安全を確保するための技術と知識も日ごろから磨いておく必要があり、並みの努力でできることではありません。

しかし、山のピークに達したとき、目標のルートを完登したときの達成感は何事にも変え難く、そんな感動をゲストにも味わってもらいたい。そんな気持があるからこそ、試験を積み重ねるモチベーションになるのではないでしょうか。

さあ、それではここからはアルパインガイドになるまでの道のりが如何に険しいのかをご説明します。
下の図をご覧ください。

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ACMG(カナダ山岳ガイド協会)ではこの項目の一つ一つがコース(Training は試験ではないが履修必須)となっていて、一番下までたどり着くとマウンテンガイド(国際山岳ガイド)です!(私はこの表を見ただけで気が遠くなったりますがw)

アルパインガイドになる為には、
・ガイドトレーニング・ロック
・アプレンティス・ロックガイド
・ガイドトレーニング・アルパイン
・アプレンティス・アルパインガイド
・アルパインガイド
と6つものコースを受ける必要があるのです。さらにこの表には記載されていませんが、雪崩大国であるカナダではアルパインガイドになる為にCAA(Canadian Avalanche Association)の
アバランチ・オペレーションズ・レベル 1
という試験にパスする必要があります。あとはもちろんすべてのACMGガイドに求められる
・Advanced Wilderness First Aid(上級野外救命士)※3年に1度の更新あり
こちらも必須です。

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ちなみに谷はこのほかに
・アプレンティス・スキーガイド
アバランチ・オペレーションズ・レベル 2
も取得しており、マウンテンガイドまであと一つとしています。

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ハフナー・キャニオン クートニー国立公園 ブリティッシュコロンビア州
(クライマー:谷)

それでは谷がここまでカナダで取得した資格を順を追って振り返ってみましょう!

さあ、行きましょう!
クライミーング!

2013年春 アドバンスド・ウィルダネス・ファーストエイド・レスポンダー 取得!(私も取っていますが実はこれがかなり大変!?)
2013年夏 ACMG アシスタント・ハイキングガイド Get !
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ほほーう

2014年冬 CAA アバランチ・オペレーションズ・レベル 1 パス!
2014年夏 ACMG アプレンティス・ロックガイド しゃー!!

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ガンバー!!

2015年夏 ACMG アプレンティス・アルパインガイド YES!!
2017年冬 CAA アバランチ・オペレーションズ・レベル 2 うぉりゃー!!

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テイク!!ちょっと一休み
くらいむおーん!!
2018年春 ACMG アプレンティス・スキーガイド HEE HAW!!
2018年秋 ACMG アルパインガイド オーサム!グッジョブ!タク!

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ヒャッホーイ!!

ハァハァハァ・・・何と、1年に1つ以上試験を受けていますね・・・。
ちなみにアプレンティス・ロック、アルパイン、スキーはGuide Training も取る必要がある為、アプレンティスのカテゴリはコースとしては2つ分となるわけです。

これは本当に一年中トレーニングから、プライベートから山に入っていないとできないことです。また、当たり前ですが書類等の手続きからコース中の座学まですべて英語なので、外国人の僕らにとってもこれらのストレスは計り知れません。本当に常に山のことが頭の片隅にないとできないことなのです。さらに谷は非常に計画的に先のことを見据えて、一つずつステップアップしていると言えるでしょう。

そして、それぞれの試験受講前には書類審査から始まり、主に山行履歴を提出する必要があります。場合によってはこれで試験を受けることすらできないということもあり得ます。

冒頭でも述べましたが私はアシスタント・ハイキングガイドの試験は谷と同じ2013年の春に受講しています。ここから谷はマウンテンガイドへの道を歩み始め毎年試験を受けることになるのですが、しかし5年でここまで行くとは・・・。

私が2012年にセメスター(ヤムナスカ登山学校)を受講した時にインストラクターのマウンテンガイドが言っていました。
「カナダでマウンテンガイドになるには最低でも10年はかかる。」
さらにその為には膨大な経験を積む必要があり、「それまでは人生のほとんどを山に捧げることになる」と言っていたのが印象的でした。それ程に厳しい道なのです。

ちなみに私はハイキングガイドを取得してから、ロックやアルパインの道には進まずにハイキングガイドとして経験を積む道を選びました。ガイディングするフィールドは異なりますが、多くの人々にカナダの山を知ってほしいという気持ちは、ハイキングストリームへ進んだヤムナスカのガイドも同じものを持っているのです。また、ガイディングとは別のアプローチ方法で、カナダの山を紹介するチャンスがあることは恵まれたことであると言えます。

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ロープワークは訓練の賜物、形で覚えるのではなく何故こうなるのかを考えることが重要。

夏のシーズン前に行われるガイドが全員揃ってのヤムナスカのスタッフトレーニングでは、毎年異なる山へ入り実際のハイキングを想定し、各ガイドがそれぞれルートプランを持って参加します。そこではオフトレイル(トレイルが付いていないルート)や初見で入る場所も多い為、現場で状況判断することも多くなります。もちろん現場でそのような判断をすることが出来るのが、ACMGハイキングガイドで我々の得意分野でもあるのですが、谷のようなあらゆる地形やハザード(危険になりうる状況)を知っているガイドからの意見は、実に理にかなっており非常に参考になります。

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スタッフトレーニングにて残雪期の雪崩のリスクについて解説
Tryst Lake カナナスキス アルバータ州

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スタッフトレーニングにてハイキングのガイドラインについてディスカッション
Door Jam Mtn. カナナスキス アルバータ州


さて、アルパインガイドへの道のり、そしてその技術は具体的にここではすべて語ることは出来ないのですが、険しく難しいものだと言うことが分かったでしょうか。しかしこの記事で私が伝えたいことは、そんなことではないのです。もちろん彼のここまでの取り組みは桁外れな努力が必要でそれ自体が凄いのですが、彼の本当の凄みとは「山が好き」という当たり前で、半端じゃなく真っ直ぐな気持ちなのではないかと思うのです。

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カナディアンロッキーのアイスクライミングはワールドクラス


2015年4月に谷とヤムナスカガイドの山田がカナディアンロッキーの名峰 Mt. ChephrenのWild thingというルートに第12登※(日本人初登)し戻ってきて、私が「いやぁ凄いね。尊敬するよ!」と谷に声を掛けるとこんな返事が帰ってきました。

谷「まぁ、結局遊びだからねw」

私は驚いたのと同時に、その言葉でハッとし、
「遊びがここまで本気で、、、というかそれこそがガイドが持つべき精神なのでは」と思いました。

本気で遊び、そこで得た感動を少しでも多くの人に伝えたい。
そんな風に思うのは普段意識しないが、もしかすると山でガイドする以上当たり前なのかもしれない。

それから私はそのとき感じたモノを今でも大切にし、今はあのとき谷がそう言った気持ちが分かる様な気がします。

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もちろん我々他のヤムナスカガイドも全員「山が好き」で山で感動し、その感動を伝えられる事を感謝し幸せに感じます。
谷がこのカナディアンロッキーで躍動する姿を見ていると、そこが彼の本当の強みで我々も本来持っているものなんだと気付かされます。

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ボウバレーの日本人クライマー達


今日も谷はどこかで壁に取り付いている事でしょう。どんな絶景を見ていて、何を感じているんでしょうか。
きっと「こんな景色をもっと沢山の人に見せたい!」と思っているに違いないでしょう!

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谷がアルパインガイドとなったことは、今まで想像もできなかった山の世界がより身近になったと言って間違いありません。
言葉の壁が無いことで、より安心して日本の皆さんにカナディアンロッキーが世界に誇る山域である事を、その感動をお伝えできる様になります。
それこそが谷がアルパインガイドをパスした価値であることは間違いありません。

さて、カナダでのアルパインガイドへの道のりが厳しいものだということが、記事を書いてる私も改めて実感しました。大切なのはしっかりとした計画性と入念な準備(トレーニング)そして、純粋な山に対する情熱ではないでしょうか。しかし、厳しい道だからこそお客様に安全を提供出来ることに繋がることと、何より手つかずのカナダのアルパインエリアをガイドできること自体が本当に価値あることです。是非、そんな熱い気持ちを持った方は参考にしてみてください!

そして、日本からのピークハンターの方々。現在ヤムナスカの登頂系ツアーはまだまだ始まったばかりですが、私たちがカナダの山で得た感動を沢山の人々に感じて頂く、登頂ツアー造成により力を注いで行きたいと思います!どうぞご期待ください!


ヤムナスカ・ガイド堀口 慎太郎 (ほりぐち しんたろう)
ガイドプロフィールはこちらから。









by ymtours | 2018-11-03 01:20 | 「マウンテンガイド」への道 | Comments(0)