こんにちは、八牧励です。今回は日本よりお越しの佐藤様ご夫妻、カナダはCanmoreに在住の堀川様ご夫妻とご一緒に8月13日より3日間、バンフ及びヨーホー国立公園へ日帰りハイキングに行って参りました。
初日 8月13日/天気:晴れ→曇り Canmoreにて堀川様ご夫妻と待ち合わせ、Highway1をJasper方面へ走ること約1時間半、Moraine Lakeへ到着しました。ここで、Moraine Lake Lodgeに滞在している佐藤様ご夫妻と合流しました。目指すはLarch Valleyのさらに奥、Mt. TempleとPinnacle Mt.の鞍部、Sentinel Pass。朝の涼やかな空気の中、登山道沿いに咲くFringed-Grass of Parnassusを横目に見ながら湖畔より続く樹林帯から徐々に高度を稼いでいきます。途中の急登も滑らかなSwitchback(急な勾配を緩和するためのジグザグの道)を切りながら軽快に進むこと約1時間、やや平坦な場所に出ました。気がつくとMoraine Lakeははるか下、先ほどまで天高く覆いかぶさるように見えていた対岸の氷河がすぐ目の前に見えます。このあたりから、その名はLarch Valleyの由来となったlarchが顕著になりはじめました。さらにしばらく進むと目の前がパット開け、淡緑色の丘の向こうに無機質な黄色の岩稜の峰が顔を出し背後にはいつのまにか3,000m級の頂が我々を囲むように聳えていました。その丘を越え、Minnestimma Lakesのほとりで一休み。ここまでくるとPassまではあと少しです。Minnestimma Lakesより夫婦2人3脚、お互いを励ましあいながら、途中目を見張るfireweedの群生に足を止め、30分ほどでPassに到着。振り返るとMinnestimma Lakesは水たまりのよう。 向こう側の斜面を覗くとなんとそこにはいくつもの奇怪な岩塔がそびえていました。永い年月が施す一種未完の芸術作品。後々の姿に思いを馳せ、ロッキーの峰々を過ぎる時折肌を刺すような冷気を感じつつ食事をとりました。 帰路はTen Peaksの峰々を見比べ、お気に入りの山を選びながら、また両側に咲く高山植物を愛でながら歩きました。秋には一面に広がるlarchが黄色に染まり、真っ白な雪が天を貫くようにそびえる山々を艶やかに覆い全く異なる景色が広がります。今度はぜひ秋にもお越し下さいませ。堀川様、佐藤様、本日は楽しい1日をありがとうございました。 2日目 8月14日/天気:快晴 佐藤様ご夫妻との待ち合わせのためにMoraine Lakeへ向かう途中も雲ひとつない空が続いています。本日のもう一人のガイド、小泉優と共に最高のハイキング日和となることを期待しつつ、再び1号線を北上しました。Moraine Lake Lodgeで待ち合わせ、まずはConsolation Lakeへ向け歩き始めました。岩の尖塔、Tower of Babelから続くガレ場を通過すると深い森の中へ入ります。左袖を沢が勢いよく流れ、その時折大きくなったり小さくなったりする音と並走しながら静かな樹林帯の中を進みます。森林浴を楽しみながら歩くこと約1時間、大きな岩が無数に横たわるその奥に、Consolation Lakeの湖面が見えてきます。太陽の光線を全面に受け、それは見事に輝いています。後方にはQuadraとBidentの3,000m峰が悠然と腰を下ろしている見事な光景です。 1時間歩いただけでこれだけの風景に出会えることに感嘆しつつ湖畔でゆっくりと時間をとり、再びLodgeへ戻りました。 午後はLake Louise Gondolaに乗車。天気が良かったのでGondolaではなくChair Liftに乗り、そよ風を受けながらスキー場中腹に降り立ちました。冬は白銀の斜面に今はヤナギランが群生して、風に桃色の波を起こしながら私たちを楽しませてくれます。私たちが立つ斜面の向かいにはエメラルドグリーンのLake Louise、さらには氷河をバランスよくのせたMt. Victoria、Mt. Temple、そしてずっと南にはMt. Assiniboineまで見ることができました。 下山後は、Lake LouiseのSamson Mallでショッピングを楽しみ、今晩、佐藤様ご夫妻がご宿泊されるEmerald Lake方面へ向かいました。途中、カナダ大陸横断鉄道(CPR)がKicking Horse 峠を越える難所、Spiral Tunnelのviewpoint(展望所)に立ち寄りました。当時の技術を結集し、それ以前の線路の斜度を半分ほどに削減することに成功した横断鉄道史の金字塔でもあります。待つこと40分、長さ1kmはあるだろう貨物列車が上段のトンネルに侵入すると、やがて下段のトンネルから先頭車両が姿を見せました。なるほど、列車が通ると確かにスパイラル(螺旋状)になっていることがわかります。Spiral Tunnel Viewpointを後にして、次はFieldのInformation Centerで展示物などを見学し、Fieldの街を車で一周しました。カントリー調のかわいらしい建物が並ぶ素敵な街並みでした。続いては、Natural Bridgeです。河の流れが大岩に穴を穿ち、ちょうど橋のようになった自然の造形物です。高山植物の姿形もそうですが、自然の造作が最も優れたデザインを生み出すのでしょうか。 そしてまだ日が長いロッキーの太陽があがっている間に、Emerald Lakeに到着しました。ハイキングは午前中だけでしたが、盛りだくさんの1日、どうかゆっくりとお休み下さい。そして明日もまたよい天気になりますように。 3日目 8月15日/天気:再び快晴! 本日も小泉優と2名でご案内です。Emerald Lake より車でYoho Valley Road を北上して、その末端の駐車場に移動しました。まずはTakakkaw Falls(Takakkawとは先住民の言葉で「素晴らしい」という意味)へ。この滝は落差約250m、この時期は融解した水と相まって特に水量が豊富です。近づいてみてもはたしてどれくらい大きいのか周囲に比較対象もなく、その水の落下から生じる轟音に圧倒されるばかりです。百メートルほど先でも、水しぶきが薄煙のように漂ってきます。ここから今日の行路は始まります。Yoho Passを越えてEmerald Lakeまで戻るのが今日の道のりです。Yoho Valley Roadを横切り低木の間を抜け少しずつ高度を上げていきます。滝の音はまだ大きく聞こえますが、1時間もすると滝の上部が目線の高さほどに感じられます。ずいぶんと上がってきました。登山道もYoho Valleyに沿って続くゆるやかなものなります。この先、少し歩くと氷河が見えてくるはず。まだかまだかと思いながらも足を前に運び続けているとMoraine地形が姿を現しました。氷河は近い。Moraineのつくる丘陵に乗るとその先に、上方の斜面に張り付く見事な氷河がみえました。横に大きく広がる氷河は意外なほど近くに見えます。ようやく顔を出した氷河を飽かず眺めながら、カナディアンスタイルのボリューム満点の昼食をとりました。 昼食後は歩いた道を少し戻り、Yoho Lakeへ。今度は左手に見えるTakakkaw Fallsに時折足を止め、少しずつ歩を進めます。登山道の先に姿が見えるWapta Mountainの麓に湖はあります。Yoho Lakeには13時頃到着しました。周囲を森に囲まれた静かな湖です。ここからEmerald Lakeまでは5km弱、Yoho Passを抜けるとあとはほぼ下りになります。倒木を避けながら下っていくと、今度は別の滝が。前方に張り出した岩壁から勢いよく水が流れ落ちています。氷河が源流のこの水も斜面を下り、Emerald Lakeへと流れ込み、あの神秘的な色を醸し出す役割を担っています。登山道もその流れに寄り添うように曲がりはじめ、ようやく湖の扇状地に辿り着きました。しかし、行く手を沢が阻んでいます。水は網目状に流れどうにも水を避けて先に進むことができません。最適のルートを探しに行こうとすると、佐藤様のご主人から「最近は靴が良くなっているから少しくらい水に入っても大丈夫」と頼もしい言葉をいただきました。思い切りよく、できるだけ浅いところを渡ることを決意して、何度目かの渡渉を終えると湖へまっすぐ続く道に乗りました。私たちの前に湖が再び現れたのは出発してから6時間。道沿いに設置してあるベンチに腰を下ろし、陽射しによって少しずつ変化していく湖面の彩を楽しみました。1日の終わりにゆっくりと湖畔をまわり、朝出発したEmerald Lake Lodgeに戻ってきました。 佐藤様はこの後も数日をカナディアンロッキーで過ごされるとのこと。楽しい思い出をたくさんつくられることを心より願っております。そして来年もぜひカナディアンロッキーを楽しみにいらして下さい。 皆様、3日間、本当にありがとうございました。 <文/八牧励; 写真/小泉優、八牧励> ↑アウトドアブログのランキングに参加しました。 サイト上位を目指しております。一票(クリック)のご協力をお願いします!
by ymtours
| 2007-09-09 04:39
| カナダの山旅
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