車椅子でのサンシャインメドウハイキング!

d0112928_4365314.jpg

 8月初旬、神戸からお越しの實平(じつひら)様ご一家3名様をサンシャインメドウハイキングへご案内しました。なんと、實平様のご主人は車椅子での参加であり、僕自身、車椅子の方のガイドは未経験であったため、始めは正直どこまで行けるものだろうかと不安な部分もあったのですが、奥様、お嬢様のモモカちゃんも含めた全員の協力プレーにより、サンシャインメドウの素晴らしい景色を楽しむことができました。
 サンシャインスキー場のパーキングからサンシャインメドウまでは専用のシャトルバスで上がりますが、このバスは車椅子に対応した乗降のシステムを完備していないため、車椅子からは一度下りて、自力で席まで行かなくてはなりません。バスの運転手と話し乗降口からもっとも近い席を空けてもらうと、ご主人はバスの乗り口の前に車椅子をつけ、補助の手すりを使いながらご自身の腕の力のみで「エイエイ!」といとも簡単に席につかれました。すごい腕の力です!
 シャトルバスで30分ほど未舗装の道路を上がると、サンシャインメドウのビレッジに到着。さてさて、車椅子でハイキングをする上で最も気になるもの、それは、なんと言ってもトレイルの作りであります。バスを下りるとすかさず全員でトレイルをチェック。サンシャインメドウのトレイルは道幅も広く、車椅子での移動も十分可能なのですが、トレイルを見るご主人の顔色がやや優れない... 実は車椅子での移動で最も困難なものの一つが「砂利道」の移動であり、砂利道での上り道となるとかなり厳しい部類に入るらしいのです。サンシャインメドウのトレイルは浅い砂利道ではあるのですが、今回の目的地のロックアイルレイク(Rock Isle Lake)までは100m以上の上り道です。
 「う〜ん...どうしようか... やはり僕だけここ(ビレッジ)で待っていようか....」とご主人も遠慮がちになり、奥様も「うーん、どうしようか...」と少し空気がしんみりしてしまったのですが、僕としてはなんとしてもサンシャインメドウの景色を楽しんで頂きたく、「とにかく行ける所までいきましょう! 上りは僕が押しますし、やればなんとなりますよ!」と説得して当初の予定通り全員で歩くことになったのであります。
 ビレッジを出発するといきなりの上り斜面。実はこの始まりの上りが一番傾斜のきつい箇所。さあ押すぞー!と気合いを入れたのですが、「始めは私が押します!」という奥様の一言により、僕はガイドに徹しながらのスタートとなりました。
 ご主人が腕の力でタイヤを押し、後ろから奥様が椅子を押す。モモカちゃんは元気にトレイルを走り回っている。一面に広がるアネモネの綿毛、気持ちの良い風。のんびりと会話をしながら歩き出したのですが、5分程で奥様が無言に... ここサンシャインメドウは標高が2200m以上もあるのです。さすがに見かねて僕が交代を志願しました。
 さあ、ここからは僕の出番です! ご主人の腕の力による移動力もあり、思っていたよりも力は使わないものだなぁと、快適に動き出したのですが、力のかける場所に注意しないと車椅子の前輪が浮いてしまうため、うまく進まないことに気づきました。思えば僕にとって車椅子を押すこと自体初めての経験だったのです。
 順調に坂を登りながら、これはいける! と確信を持ち始めた数分後、早くも息が切れ初めてくる... (おかしい...俺はもっとできるはずだ... 山で鍛えたこの体。どうしてしまったというのだ、え!おい!)と自問自答を繰り返すものの、体は正直です。これは油断ならないと気合いを入れ直し、以後はあまりペースを上げずにゆっくりと移動することを心がけると、体の使い方もすぐにうまくなり、車椅子を押しながら会話することにも直に慣れました。大事なのはペースコントロールなんですね。
 この日のサンシャインメドウは決して快晴ではないものの、時々雲の間から顔を出す太陽の光が周囲の山々を照らし、トレイルの周りに咲くヤナギランや、ひょこひょこと地面の中から顔を出す地リスがハイキングを楽しいものにしてくれます。
 トレイルはたまに下り道になるのですが、ご主人の下りのコントロールテクニックは素晴らしく、お一人だけでもの凄いスピードで滑走するのですが、ブレーキと重心移動を巧みに駆使しながらの操縦技術には本当に驚かされました。
 30分も歩くと車椅子のコントロールもすっかりものにし、上り道を押す役目も奥様とちょこちょこ交代しながら、1時間半ほどでロックアイルレイクに無事に到着!

d0112928_4371342.jpg

 ロックアイルレイクのビューポイントからは「これぞカナディアンロッキー!」と言う景色が広がり、全員で到着を喜びました。ご主人も「本当に来れてよかった。こんな素晴らしい景色を見れるとは思っていなかった。」と喜んで頂いたことが何よりも嬉しかったです。何事もやればできる! 今回のことでしみじみ実感しました。
 實平様、是非カナディアンロッキーにまたお越し下さい。次はどこへご案内できるのか楽しみです。 ありがとうございました!

写真・文/石塚体一

にほんブログ村 アウトドアブログへ
↑アウトドアブログのランキングに参加しました。
サイト上位を目指しております。一票(クリック)のご協力をお願いします!
by ymtours | 2007-07-06 06:37 | 家族の山旅 | Comments(4)
Commented by jitsuhira at 2007-09-07 10:29 x
石塚さん、こんにちは。
早いものであれからもう1ヶ月も経ったんですね。
これまでもあちこち旅行してきましたが、カナダにはなんだか心を置いてきてしまったような気がして
なぜだかうまく説明できないのですが、「また行かねば!」という思いがふつふつと沸いてきます。

忘れもしない、できない、サンシャインメドウ。
最初は石塚さんが書かれておられる通り、少しひるみました(笑)。
あの坂はどこまで続いてるんだろう?
そんなに必死に行くだけの所なんだろうか?

でもここで待っているだけでは、いつも日本で待っているのと同じ。
石塚さんも「行けるところまで行ってみましょう。」と仰ってくれているし、カナダの大自然を家族と一緒に感じることができるチャンスなのだから「よし、行こう!」と決意しました。
Commented by jitsuhira at 2007-09-07 10:32 x
最初の坂がペースがつかめなくてキツく、「これで Isle Lake というところまで行けるのか?」と心配になりましたが、石塚さんに代わっていただき、頼もしいサポート力で一番急な登り坂を越えることができました。

あとは最初に比べると比較的起伏の少ないトレイルではありましたが、それでもひとりの力では大変で、石塚さんにかなり助けていただきました。
そして、「これがカナダか~」と今まで見たことのない広大な景色の広がる高原をゆっくり進むことができました。
目的地の Isle Lake に着けた時は、雄大な景色を前に「日本ではどうしてもハイキングを一緒に行くことはできないが、ここでは家族と一緒にここまで
来ることができた!」と感無量でした。
Commented by jitsuhira at 2007-09-07 10:34 x
ヤムナスカさんに「車いすの者でも行けるトレイルはないですか?」と相談したところから始まり、ヤムナスカさんの「カナダの山中に少しでも身を置いてみて欲しい」という前向きなご協力の元、サンシャインメドウ行きが実現しました。
石塚さんの「やればできる」という気概とサポート無しでは、今回のハイキングは成し得ませんでした。どう感謝していいのか分かりません。

石塚さん、ヤムナスカさん、本当にありがとうございました。
カナダはとても思い出深いところになりました。
Commented by ymtours at 2007-09-07 11:44
實平様。
お久しぶりです!
こんなにも喜んで頂けたことが何よりも嬉しいです。ガイドの仕事をやっていて本当に良かったと心から思います。
あの日のサンシャインメドウでの出来事は一生忘れることはないでしょう。僕のガイド人生において、とても重要な一日であったと思えます。
是非またカナダにお越し下さい。再びロッキーをご案内できる日を楽しみにしております。
ありがとうございました。


<< モレーンレイクの別の顔 レイク・オハラエリア日帰りハイキング >>