カナディアンロッキー登頂ツアー Mt.Robson(3954m)   <8/13-8/19、2007>

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ヤムナスカガイドの岩田薫です。今回は神奈川県からお越しのミズキさん(仮名)がカナディアンロッキー最高峰の"Mt.Robson(マウント・ロブソン)"登頂とトレッキングツアーに参加いただきました。山岳ガイドはSteve Holeczi(スティーブ・ホレッツィ)でした。確実なコミュニケーションをとれるように、私が通訳として同行致しました。ミズキさんは2年前にもお越しいただき、その時は"Mt.Assiniboine(マウント・アシニボイン)"を登頂されました。

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カナディアンロッキー登頂ツアー Mt.Robson(3954m)   <8/13-8/19、2007>_d0112928_04847100.jpg昨日、カナダに到着。今日はキャンモアから車でマウント・ロブソン州立公園へ。ロブソン登頂のベースキャンプとなる"The Dome(ザ・ドーム)"にヘリコプターで入山する予定でした。しかし、低い雲がロブソンを覆っていた為、ヘリは飛ぶ事ができませんでした。この日は麓のオートキャンプ場で泊る事になりました。このマウント・ロブソンは独立峰の為、雲が付きやすい特徴があります。夕方に再び、ロブソンの見える所に訪れてみると雲は掛かっていたものの、ピークも見られました。明日に期待しましょう!

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ヘリコプターのパイロットの情報によると、数日前から不安定な天候が続いていた為、3000m以上はかなりの新雪が降ったという情報を得ました。この時点で問題になったのは、果たしてヘリで入山できたとしても、雪が多い為に登頂が出来るかということになりました。この判断は、実際に訪れてみるまで判断をすることは難しく、ガイドのスティーブとミズキさんは、納得いくまで話し合いとなりました。カナディアンロッキー登頂ツアー Mt.Robson(3954m)   <8/13-8/19、2007>_d0112928_0525866.jpgもう一つの案として、別のエリアの山を登頂するという事も検討しました。色々検討した結果、「例え登頂は出来なくても良いので、ベースキャンプへ訪れてカナディアンロッキーの最高峰マウント・ロブソンを見てみたい」という結論に達しました。
そして、ヘリも無事に飛ぶ事ができて無事に"The Dome(ザ・ドーム)"へ降り立ちました(標高3150m)。私達を含めてこの日は3パーティが入山しました。降り立つと新雪が40cm以上積もっていました。周囲は氷河と雪に覆われており、とても迫力のある景色が目の前に飛び込んできました。ベースキャンプを設営する前に、まずはキャンプ地を「ゾンデ棒」と言われる3m以上ある細長い棒を使って、雪に埋もれたクレバスが無いかを確認をする作業から始まりました。カナディアンロッキー登頂ツアー Mt.Robson(3954m)   <8/13-8/19、2007>_d0112928_056418.jpg設営後、3人のガイドはルートの核心の一つとなる氷壁"Kain Face(ケイン・フェース)"を偵察に行きました。この氷壁はベースキャンプの眼前にそびえ、行く手を阻むかのようです。やはり雪がとても多いというのが、ガイドの共通する意見となりました。よって明日の登頂は雪崩の起こる危険もあるという事で、3つのパーティともMt.Resplendent(マウント・レスプレンデント)(3426m)をチャレンジする事になりました。
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朝、4:50にベースキャンプを出発。まだ日は昇っていないのでヘッドランプを付けてのスタートとなりました。また、周囲は雪で覆われた氷河地帯を歩くので、初めからロープで繋ぎあっての行動となりました。陽も徐々に昇りはじめ、ロブソンと周囲の山々が真っ赤になるのを横目で見ていました。というのも、その時は雪と岩が混ざった狭い稜線上を緊張しながら通過している時でした。カナディアンロッキー登頂ツアー Mt.Robson(3954m)   <8/13-8/19、2007>_d0112928_1185553.jpgミズキさんは、アイゼンを履いているにも関わらず、とても軽快な足取りで登っていました。コルに到着して、最後にクレバスが幾つもあるエリアを通過してマウント・レスプレンデント(3426m)を登頂することができました(9:50頃)。今日は快晴となり遠くの山々を一望する事ができました。そして同じルートでベースキャンプに戻りました(14:50到着)。今日の雪のコンディションから、明日はこのまま天候が安定してくれたら登頂を行うという方向に進んでいきました。カナディアンロッキー登頂ツアー Mt.Robson(3954m)   <8/13-8/19、2007>_d0112928_1215863.jpgしかし、雪が多いルートのコンディションと体調不良(寝不足と疲れ)の為、残念ながらミズキさんは登頂を断念する事になりました。また、昨晩下から登ってきた個人のパーティからもロブソン登頂の厳しさを感じたのかもしれません・・・(このパーティは、今日の1:00頃ここのベースキャンプを出発してマウントロブソンの登頂を目指しました。結局、登頂はできたものの、途中でパーティが分かれて下山したのは22:40と0:30。何と20時間以上にも及ぶ長い行程となりました→翌日は昼頃にヘリを使わずに下山!ミズキさんはこのパーティをunbelievable(信じられない)チームと命名しました)
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1:30頃、私達を除く2パーティがベースキャンプを出発。私達はミズキさんの要望にお答えして"Kain Face(ケイン・フェース)"を2ピッチ登る事になりました(5:00頃出発)。このケイン・フェースはルートの中でも核心となる一つで、高さ300m以上、斜度は約50度の氷雪の壁をピッケル2本とアイゼン(約120m)で登ります。"ケイン"とは初登者の"Conrad Kain(コンラッド・ケイン)"からきており、このケインも何百ものステップを作って登ったと言われております(1913年)。実際に取り付いてみると、壁は想像以上に大きく、斜度も垂壁に感じられ、ベースキャンプから見るよりも遥かに迫力のある印象を受けました。氷の壁を登っている途中、陽が昇り始めケイン・フェースの氷壁とロブソンの岩肌を真っ赤に染めました。とても静かで壁に取り付いている事さえ忘れさせるほど神秘的な朝を迎えました。この大氷壁を登り終わって、装備が乏しかった昔によく登ったものだと改めて過去のクライマーに敬意を表したい気持ちになりました。
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午前中、ベースキャンプとなった"The Dome(ザ・ドーム)"をヘリで下山しました。この後、引き続きミズキさんはご自身で2泊3日のロブソン山麓でのトレッキングを楽しまれました。この度は当社のツアーに参加いただき誠に有難うございました。マウント・ロブソンの登頂は果せなかった事はとても残念ですが、今回の山旅で普段できないような貴重な体験や感動は数多くあった事と思います。ぜひこれからも色々な山にチャレンジしていってください。今後もロッキーを初めカナダの山を紹介させていただきます。そしてまたお会いできる日を楽しみにしております!
(文・写真 岩田薫)

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by ymtours | 2007-08-24 16:41 | カナダの山旅


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