ヤムナスカガイドの栗原治郎です。7月23日から28日までヤムナスカ最難とも言われるThe Wall of Jericho(ジェリコ)ツアーへ行ってきました。日本からご参加いただいたのは、既にロッキーに何度も訪れていただいている高橋御夫妻、大塚さん、そして今回初めてロッキーに来られた後藤さん、またワーキングホリデービザでカナダ滞在中の柴田さんです。またカナダからはNelsonさん、Bernieさん、そしてドイツからはIngoさんが参加。ツアーリーダーはバックパッキングガイドのJonathan、そしてアシスタントが私、栗原と国際色豊かなパーティーとなりました。
The Wall of Jerichoとは? ロッキーを代表する観光地Lake Louiseからハイウェイを挟んだ反対側にLake Louiseスキー場があります。その背後に広がる谷がSkoki Valley(スコーキ)と呼ばれています。その谷にあるMerlin Lake(マーリン湖)の南側に、このツアーの名前の由来となる壁Wall of Jerichoがそびえています。まるで剃刀のように薄い巨大な壁、それを取り巻くようにある数々の湖と山々の原始的で広大な風景。デイハイクでは訪れることの出来ない場所だからこそある静けさ。この魅力あふれるSkoki Valleyを北のMosquito Creek(モスキート川)から、さらに訪れる人の少ない、古の道Pipestone River(パイプストーン川)を経て目指すのがこのThe Wall of Jerichoツアーです。 初日 / ホテルでみなさんと朝食を食べたあと、ヤムナスカオフィスでキャンプ道具などを調達し出発!トランスカナダハイウェイを北上しMosquito Creekの駐車場から歩き始めます。基本的に良く整備された登山道を歩きます。しかし、このところの暑さで増水した川を渡るため、数箇所丸太で作られた橋を渡らなくてはいけませんでした。Molar Pass(モーラー峠)へ向かうMosquito Creekから離れNorth Molar Passへの急登をこなすと突然視界が開けました。森林限界を越えた平原に花々が咲き、峠に向かってトレイルが続いて行きます。そして今日最後の登りを頑張ってこなしNorth Molar Passへ辿りつきました。Molar(奥歯・臼歯)の名の由来と思われる山稜を右にみながらFish Lake(フィッシュ湖)まで下り本日のキャンプ地へ到着しました。初日で荷物も重く、かつ距離も標高差もある一日、みなさんよく頑張って歩きました。さらには夕食中に突然の強風と雹の襲来を受け、バックパッキングらしさあふれる一日となりました。 North Molar Pass へ 二日目 / 今日は荷物をキャンプ地に置きPipestone Passへのデイハイク。前夜の嵐とは打って変わり快晴。ほぼ全日森林限界の上を歩きながら、ロッキーでも特に訪れる人の少ないPipestone Valleyの景色を楽しみました。Pipestoneという名の由来はかつて先住民がこの谷で取れた石でパイプを作っていたからだそうです。 Pipestone Passへ Pipestone Passから 三日目 / 本日がこのツアー中最大の難所になりました。朝荷物をまとめ二日滞在したFish Lake キャンプ場をあとにします。そして昨日遡ったPipestone Valleyの底まで下ると今度は下流に向かって歩きます。まったく人に会わないトレイルを歩いてゆくと何百年も前から先住民、開拓者たちが使っていたといわれるキャンプ地を通り過ぎました。トレイル上にあった今はもう必要とされていない橋もかなりの年月が経ったもののようでした。 かつてこの谷を馬に乗って旅をした人々の気配をそこはかとなく感じながら歩きました。さて最大の難所たる所以はというと、このトレイルは主にホースバックライディング(馬を使った山旅)に使われているので川に橋がないのです。なので登山者はジャブジャブと水に入って渡渉しないといけないのですね。全部で4回ほど靴を脱いでサンダルに履き替え、冷たい川を渡りました。特に最後は膝上ぐらいまで増水した川を渡渉しなくてはならず、私とJonathan二人でお客様を両脇から支え渡りきりました。 その後はLittle Pipestone Riverを遡りやっとSkoki Valleyへ入りました。本日のキャンプ地Merlin Meadowキャンプ場です。夕食の後は焚き火をし、ぐっと冷え込んだ夜中にはお客様と素晴らしい星空を堪能しました。標高差はあまりありませんでしたが移動距離20kmに加え数々の渡渉があり、特にアドベンチャラスな一日となりました。 Skoki Valleyに到着! 奥にWall of Jerichoが見えます 四日目 / 午前中にWall of Jerichoの北にあるMerline Lake(マーリン湖)へ足を伸ばしました。Mt.Richardsonに掛かる懸垂氷河をバックにゆったりと広がる美しい湖を堪能した後、キャンプ場へ戻り次の宿泊地Baker Lake(ベーカー湖)へ向かいます。Skoki MountainとFossil Mountain の間にあるJones PassとCotton Grass Passを通る比較的短い行程をこなすとBaker Lakeキャンプ場に到着しました。久しぶりに他にトレッカーのいるキャンプ場に着き、今までの行程のひと気の無さに改めて気づきました。 Merlin Lake & Mt. Richadson 五日目 / 今日はこのツアー中のハイライトAnthozoan Mountain登頂を目指します。まずはBaker Lakeの南を回りBrachiopod MountainとHeather Ridge のコルへ登ります。その途中でウサギ菊のすごい群生を見つけました。他にもインディアンペイントブラシ、梅鉢草、勿忘草、モスキャンピオンが咲いていました。あとで下りながらゆっくりと見ることにして、まずはピークを目指します。Brachiopod MtnとAnthozoan Mtn のコルからは頂上へ続く稜線へトラバースし、あとは稜線をたどり大きなケルンのある頂上へ到着です。西にはMt.TempleをはじめLake Louiseの山々が見え、北にはHector Mtn.や麓と歩いてきたMolar Mountainが見えました。 360度の展望を楽しみながら昼食を取り、ここでSkoki Valleyの秘境Redoubt Lakeを経由する組と登ってきたお花畑を楽しみながらゆっくりと下る組に分かれました。私は、お花を楽しみたいという高橋夫妻、大塚さん、後藤さんとのんびりと下りました。ウサギ菊のお花畑では皆さん(私も含め)とてものんびりと過ごし、花とPtarmigan Peakという風景と午後のゆったりとした時間を満喫しました。そのころJonathanにリードされたRedoubt Lake組はトレイルのない場所を歩き、ときに藪こぎをしながら大変アドベンチャラスな歩きを楽しんでいたようです。 六日目 / いよいよ下山する日が来ました。今日は半日行程の為朝はゆっくりとキャンプ場で過ごしてから出発しました。食料のない分肩の荷も軽く、Baker Lake、Ptarmigan Lake の湖畔歩きも軽快です。その名の通り大岩のゴロゴロするBoulder Passを通り、Hidden Lakeキャンプ場で昼食を取ります。ここから私がこのSkoki Valleyの中で一番好きなHidden Lakeまで行くことを提案すると柴田さんとIngoさんが行ってみたいとおっしゃってくださいました。お二人を連れて登ること20分。Mt.Richardson, Pika Peak, Ptarmigan Peakに囲まれたこじんまりとした美しい湖Hidden Lakeへ着きました。以前秋に来たときよりも湖の色が緑に近く、私自身新しい発見をすることができました。お二人とも湖の美しさと周りのピークにご満悦の様子。お連れした甲斐がありました。そして約1時間半の下りをこなし迎えのバンの待つ登山口へ到着しました。 Hidden Lake 私自身カナディアンロッキーの奥深さを改めて実感したバックパッキングでしたがお客様はどう感じられたでしょうか?バックパッキングをして始めて見えてくることがここカナディアンロッキーにはまだまだあります。ヤムナスカには色々な難易度のツアーがありますので、レベルに応じてご参加いただければ、デイハイクでは見えてこなかったロッキーの野生、風景がまた楽しめるかと思います。今回ご参加くださいました高橋さん、後藤さん、大塚さん、柴田さん、Nelsonさん、Burnieさん、Ingoさん、食事の準備、荷物の分担などご協力いただきありがとうございました。またロッキーの地でお会いできることを楽しみにしております。 (文・写真 栗原治郎) ↑アウトドアブログのランキングに参加しました。 サイト上位を目指しております。一票(クリック)のご協力をお願いします!
by ymtours
| 2007-08-11 05:42
| カナダの山旅
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