「未踏峰を登頂した日本人の軌跡を訪ねて」Part 4

出発してから3時間ほどで目的地に着いてしまった。持ってきたガイドブックには,ここから左岸尾根沿いに登ると2時間ほどでグレーシャードームという山の頂上に立てる,と書かれていたので,少し早い昼食を取った後,軽い気持ちで登り始める。ところがこの先には道が付いていなかった。遠めに見た分にはどこでも登れそうに見えたカラマツの茂る斜面は,実際には急崖が多く,登る場所を見つけるのに苦労した。

 ようやく尾根上に出ると,そこはもう瓦礫のような岩に埋め尽くされた無機の世界だった。足元の岩には氷河削痕がはっきり残されている。いま歩いている場所もおそらくつい最近まで氷河の下にあったのであろう。氷河の上を渡ってくる冷たい風にさらされながら上を目指す。
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 2時間ほど歩くと,ケルンの立った小さな丘の上にたどり着いた。青い氷をむき出しにした氷河は,もう手を伸ばせば届く距離にあった。氷河の末端から崩れた白い氷の塊をいくつも浮かべる湖を上から眺めながら75年前の昔に思いを馳せた。1928年当時,この景色は一体どんな風だったろう,おそらく現在より2,3回り大きな氷河が湖に向かってせり出し,今よりもさらに迫力ある景観を作っていたに違いない。

 見えることを期待していたスターバード氷河とその上の“眉毛山(アイブロウ・ピーク)”は,今いる場所よりさらに高い岩尾根に阻まれて見ることが出来なかった。残念だがまたの機会とすることにする。
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※1920年頃の写真 / 右のピークがアイブロウ・ピーク(3368m)

 下山しながら私は,この山域の過去の記録を調べてみよう,と考えていた。バガブーといい,この“懸垂氷河の湖”といい,パセール山脈は自分が想像した以上に氷河に厚く覆われ,景観がすばらしく,魅力的に映った。なにより人臭くなく,原始性を色濃く残していることに心惹かれた。

つづく、次回最終話

【関連リンク】
「未踏峰を登頂した日本人の軌跡を訪ねて」Part 1
「未踏峰を登頂した日本人の軌跡を訪ねて」Part 2
「未踏峰を登頂した日本人の軌跡を訪ねて」Part 3

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by ymtours | 2007-05-09 03:19 | その他 | Comments(0)


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