2018~2019オーロラシーズン終了。本当にオーロラ低迷期? 実際はどうだったのか!? データで振り返ってみましょう。

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皆さんこんにちはヤムナスカガイドの堀口です。

ヤムナスカ、ユーコンオフィスでは3月末をもってオーロラツアーがすべて終了し、無事に冬のシーズンを終えることが出来ました。
今シーズンも多くの方に、ユーコンの自然の神秘を味わっていただきました。お越しいただきました皆様、誠にありがとうございました。

世間的にはここ1~2年はオーロラ低迷期と呼ばれておりますが、今回の記事では、「なぜ低迷期と呼ばれているのか?」また、「どれくらいの頻度でどんな姿のオーロラが発生したのか!?」というところまで掘り下げてみたいと思います!出来るだけ端的にわかりやすく説明してみますので、是非ご一読下さい。

先ず一般的に「オーロラ低迷期」と言うと、オーロラが発生しにくく、鑑賞しにくいと考えられている時期の事です。後述する太陽活動のサイクルの中では「極小期」にあたり、反対の「極大期」に比べると、オーロラ旅行には向いていない時期と考えられています。
しかし、本当は極小期でもオーロラは十分に見ることができるのです。

それでは簡単にオーロラ発生の仕組みをおさらいです。
オーロラの発生は太陽の活動が大きく影響しているのですが、太陽活動が活発になるとオーロラが発生する条件が揃いやすくなるのです。
その条件を少し説明しましょう。

その太陽の活動の規模を表すものの一つが「黒点」の数です。
黒点は太陽の表面の温度が下がり、磁場が活発になっている状態の部分で、特殊な方法で太陽の観測をした時に「黒い点」のように見えます。

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太陽を特殊なカメラで可視化した写真
右上のほくろのように見えるのが「黒点」

この黒点では「フレア」と呼ばれる太陽の表面で発生する爆発が起こりやすくなり、太陽からのエネルギーが地球まで届きやすくなります。
そのエネルギーとは大きく分けると、フレアの発生に伴う爆風である「太陽風」の速度とその磁場の強度、太陽風に含まれ宇宙空間に放出される電子である「プラズマ」の密度となります。

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黒点から発生した太陽フレア

つまりオーロラが発生しやすい条件とは・・・

黒点が多くなる
↓↓
フレアの発生頻度が多くなる
↓↓
太陽風の速度が普段より高速となり磁場の強度が上がる、プラズマの密度が多くなる
↓↓
オーロラが発生しやすくなる

ということになるのです。


それでは黒点の数の推移をグラフで見てみましょう。

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これを見ると明らかに11年毎に黒点の数が増加したり、減少しているのがわかりますね。
黒点数が多く太陽活動が最も活発な時期を「極大期」、反対に活動が最も穏やかな時期を「極小期」と呼びます。
近年「オーロラ低迷期」と呼ばれている一番の理由は、黒点の数が少ない「極小期」であるためです。

それではこの「極小期」にオーロラは鑑賞ができないのでしょうか?

フレアだけがオーロラの発生に関係していると思われることが多い為、
「極小期=オーロラ低迷期」という構図になりがちなのです。
しかし実はあまり知られていませんが、極小期には「コロナホール」という現象が発生しやすくなり、それがオーロラの発生に大きく影響するのです。

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右上の黒くなっている部分がコロナホール


コロナホールとは、太陽を覆う大気であるコロナに見られる低温、低密度のエリアであり、X線で太陽を観測したときに黒く巨大な穴のようにみえることから、そう呼ばれています。このコロナホールが黒く見えるのは、黒点と同じように周囲に比べて温度が低い為ですが、黒点より遥かに巨大でそこから放出される太陽のエネルギー質量は膨大で、オーロラの発生に大きな影響を与えます。

ここまでの話をまとめると、

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極大期=黒点が多くなりフレアが発生しやすい、コロナホールの数は減少する
極小期=コロナホールの発生が多くなりやすい、黒点の数は減少する

となります。

もう皆さん気づいたと思いますが、「オーロラ低迷期」というのは実は「誤解であることがわかりますね。「極小期」に黒点が少なくなることがオーロラの発生が減少するという事だけが、いつの間にか独り歩きしてしまったのです。もう一方の「コロナホールによるオーロラの発生」の条件が知られることが少なかったのです。


ということで「太陽極小期=オーロラ低迷期」という構図が間違いだったとわかったところで、今シーズン、ヤムナスカガイドが撮影した写真と共にツアーを振り返ってみたいと思います。世間的にオーロラ低迷期と考えられていたこの時期に、実際はどうだったのでしょうか。
また、今シーズンは太陽の活動データを蓄積したので、オーロラを撮影した日の太陽のデータも一緒に見ていきましょう!




驚異の鑑賞率を誇る地 イヌビック
今年は個人のお客様をイヌビックのツアーにご案内致しました。
ツアーの様子はこちらからどうぞ。
イヌビックでの私たちのツアー滞在中に、オーロラを見れなかったことがありません!
鑑賞率なんと100%!!

今回のツアーではどうだったのかというと、、、、
なんとまたもオーロラ爆発!!(ブレイクアップ)でした。

これでヤムナスカでのイヌビックオーロラ連勝記録を伸ばすことが出来ました!!
不敗神話が続きます!!


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2019年1月20日1:30 撮影:堀口
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2019年1月20日1:54 撮影:堀口
この日はコロナホールの影響で太陽風の速度、磁場に良いデータが出ています。


それにしてもイヌビック、恐ろしいほどにオーロラが発生します。
ホワイトホースからさらに北へ北緯68度の北極圏へと突入するわけですが、この地の果てまで来る価値が十分にあると改めて再認識しました。

もちろんオーロラだけでなく極北ならではのアクティビティが楽しめます!

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イヌビックから北極海へと続くデンプスターハイウェイ
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凍結した北極海に到達!!
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ツンドラの大地にゆっくりと沈む太陽


ここには限られた僅かな種類の生命しかなく、それ以外は永久凍土の真っ白な雪面と空が続くだけ。
北極海に面するイヌイットの村タクトヤクタックという集落を訪れます。

イヌビックへは今年もヤムナスカと提携のある日本の山専門の旅行会社、アルパインツアー社との企画で3年連続で写真家の中垣哲也さんとコラボのツアーが催行され、ここでもオーロラはやはり爆発するのです!
それではいくつかのブレイクアップをどうぞ!

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2019年3月13日22:39 撮影:本山
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2019年3月12日1:34 撮影:本山
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2019年3月12日0:53 撮影:本山
データでは2日前に小規模のフレアが発生していますが、このフレアは地球への影響はほとんどなかったといえます。
また、コロナホールも発生していますが同じく地球への影響はこの2~3日後となっています。
つまりフレアや、コロナホールが発生していなくてもオーロラが発生しているということです。




大自然に包まれる宿 クルアニ・ロッジ
こちらもアルパインツアー社との共同企画で冬の定番ツアーとなっています。
世界遺産クルアニ国立公園の山岳風景とオーロラの旅です。

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クルアニ国立公園キャサリーンレイクにてスノーシューハイキング


日中は急峻な山の景色を見ながらゆっくりとスノーシューを楽しみます!



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ロッジ目の前、シープマウンテンの景色と凍結したクルアニレイクの上を歩く

宿泊は完全貸切のロッジで目の前には山と湖だけ。
最高に贅沢な滞在です。

そしてここではヤムナスカガイドが山で鍛えた料理の腕を披露します。

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ヤムナスカのガイドが料理の腕を振るいます
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暖かいメインダイニングでゆったりと食事します。


日本のお客様でも食べやすい味つけで、日替わりで趣向を凝らした料理を提供します。
このダイニングも貸切なのでゆっくりと食事を楽しみます。

そして何と言っても夜のオーロラ!

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2019年3月12日1:21 撮影:堀口

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2019年3月12日2:33 撮影:堀口
奇しくも上のイヌビックの日時と同じですが、
2000km以上離れた場所でもこのようにオーロラが鑑賞できています。


ここは私が本当に好きな場所なんですが、何が素晴らしいかというと、
・完全に貸切で自分達だけしかいない
・宿泊しているロッジの目の前がオーロラ鑑賞地
・山岳エリアとオーロラ鑑賞地という最高のロケーション
こんな条件が揃うのは非常に稀で、世界最高のオーロラ鑑賞地の一つといっても過言ではないかも知れません。
山とオーロラの景色は他でも見れるかも知れませんが、その場所に貸切できるロッジあるというポイントが奇跡とも言える素晴らしさなのです。




豪華ロッジ イン・オンザレイク
ユーコン一番人気のツアーです。
年々ロッジが人気となり、時期によっては部屋の確保が難しくなるほどですが、今年もたくさんのお客様にお越しいただきました。

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2019年2月28日3:01 撮影:堀口

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2019年2月28日3:35 撮影:堀口
やはりこの日もコロナホールの影響で太陽活動が活発となっています。


中でも年末年始のリピーター様は毎年同じ顔ぶれの方々が多くなり、「今年もまたお願いしますね!」という感じで年越しの風物詩になって来ています。(笑)

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毎年行われる同窓会のようなワイワイとした雰囲気です!


「毎年年越しはイン・オンザレイクで」と仰って来てくださるお客様には感謝しかありません!また今年もどうぞよろしくお願いします。




極北の地を楽しむ デイツアー
日中もアクティブに極北の滞在を充実させるデイツアーです。
私もたくさんのツアーをガイドさせていただきました。

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ミート・ザ・ワイルドにて
ユーコンでもっとも多く棲息する大型の野生動物カリブー
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野生では北極圏でしか生息していないマスコックス(ジャコウウシ)

ミート・ザ・ワイルドは人気のツアーです。
極北でしか出会えない動物など、ガイドがしっかり解説するのでお子様から大人のお客様まで楽しんで頂きました!

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森の中に粋なクリスマスツリーを発見!
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ホットチョコレートが体に染み込んでいくようです。


ネイチャー・ウォークではカナダ山岳ガイドの資格をもつ我々ヤムナスカガイドが得意とする分野です。
雪深い森や、凍結した湖を歩いたり今年も極北の自然を「発見」して頂きました。




極北の古都 ホワイトホース
市内のホテルに滞在し、夜はガイド付きのオーロラツアーへと出発します。
今年からの新企画でしたが、こちらも多くのお客様にホワイトホースを満喫していただきました。

ヤムナスカ独自のデータで見ると1月、2月、3月の90日間で50日オーロラが発生している為、2日に1度以上オーロラが発生した計算になります。
特にコロナホール、フレア、CMEの影響が大きかった2月下旬から3月上旬は、毎日のように頻繁にカーテン状の強いオーロラが発生しました。



さて、これで「極小期」でもこの様にオーロラが発生し、鑑賞できることが証明されました。
後は「いつオーロラを見に行くのか!?」ですが、太陽のサイクルでもいつオーロラが発生しやすいかはわからないですし、オーロラ予報サイトなどでも正確な発生を当てることは現代の科学を持っても難しいのです。

私もかつては「人生で一度はオーロラを見てみたい!」と思っておりました。そして多くの方が私と同じような考えでした。よく調べている方は「折角なら太陽活動が活発な極大期に行きたい。」と数年先に計画される方もいらっしゃいますが、そうなるとなかなか具体的なプランが立ってきませんね。しかしこれで極小期でもオーロラが発生しやすいことがわかりましたので、気持ちが熱いうちにご旅行の計画を立てるのがお勧めです!!
つまり・・・

オーロラの「見れる・見れない」は、極小期や低迷期、オーロラ予報に左右されるばかりでもなく、いつ出現するかは分からないということです。

そんな気分屋のオーロラに出会うためには、見る確率を少しでも高めることが重要で、それは『晴天率の高い場所』へ行く。そして、『いつでもオーロラが見れる宿』に泊まることです。

実際のところ「運」の要素が強く、だからこそ出会った時の感動があるのかもしれません。
11年周期など気にせず、オーロラ旅行は行ける時にすぐに計画すべきと言えますね。


最後まで記事を読んでいただきありがとうございます。
今シーズンも沢山のお客様にオーロラツアーにご参加いただきまして、誠にありがとうございました。

また、2019年のヤムナスカのオーロラシーズンは8月下旬からスタートしますが、今からでも準備は早すぎるということはありません。
どうぞご計画はお早目に!

堀口慎太郎

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オーロラ発生についてももっと詳しく知りたい方はこちらから。↓↓


by ymtours | 2019-05-08 06:14 | お知らせ | Comments(0)


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