世界屈指のオーロラ撮影スポット『カナダ、クルアニ国立公園』が如何にオーロラ撮影地として優れているのか!? 余すことなく解説しましょう。

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 オーロラファンの皆さんこんにちは! ヤムナスカの堀口です。11月も下旬となり、私の住むホワイトホースの町は完全に冬景色となりました。早いもので2018年も残り一か月ほどに迫ってましたね。皆さんはいかがお過ごしですか?

 私は今年に撮りためた膨大なオーロラ写真を整理する日々を過ごしています。オーロラはまるで生き物のように目まぐるしく変化するため、夢中で撮影しているとついつい連写してしまい、物凄い撮影枚数になってしまうんですよね。しかし、それでも自分の納得のいく1枚が取れた時の喜びは本当に嬉しいもの。撮影好きの方ならきっと共感してもらえることだと思います。

 オーロラの撮影って結構奥が深いんですよ。上空に凄いオーロラが出ているからといって、素晴らしい写真になるかというとそんな簡単な話ではないんですね。もちろんオーロラの強さも大切ですが、何と言っても大切なのは撮影地のロケーション。これは自身を持って断言できます!  

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 こちらの写真は私たちヤムナスカのスタッフが撮影した写真で、私も大好きな作品の一つ。雄大なカナダの山岳風景とオーロラ、そして星の輝きがミックスした見事な写真と思いませんか? オーロラだけなら世界中のオーロラ鑑賞地であればどこでも撮影できます。しかし、山岳風景とオーロラを一緒に写真に収めるとなると話は違います。そして、こんな夢のような撮影スポットこそが、カナダ、ユーコン準州にあるクルアニ国立公園なのです。
 
 そもそもクルアニ国立公園とは一体どこにあるのでしょうか?
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 クルアニ国立公園は、北米3大オーロラ鑑賞地の一つであるユーコン準州、ホワイトホースの町から西に約200kmに位置し、アメリカのアラスカ州と隣接する広大な山岳エリアです。ちなみに赤いマークのついた辺りが、上の写真を撮影した場所となります。

 真っ白に覆われた広大なエリアが目につきますが、実はこれらはすべてが氷! 氷河と氷原に覆い尽くされたエリアなのです。カナダの最高峰であり、北米でも第2位の高さを誇るマウント・ローガン (5959m) を頂点に、5000m級の山々が連なる広大な山岳地帯です。そして、このクルアニ国立公園に隣接するランゲル・セントアライアス国立公園、タットシェンシーニ・アルセック州立公園、グレイシャー・ベイ国立公園の4つの公園を合わせたエリアが UNESUCOの界自然遺産 に登録されています。

 世界遺産とオーロラ。撮影好きな方にとってはたまらないロケーションとは思いませんか?

 そこで、今回はクルアニ国立公園を舞台として、山岳風景とオーロラ撮影のテクニックやポイントを解説しましょう。

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point1:宿泊場所を選ぶ。

 まずは撮影の拠点となる宿について。クルアニ国立公園は町から200km以上も離れた場所であることを忘れてはいけません。厳しい大自然の中でオーロラを撮影するには、滞在する場所の選択は非常に大切です。私たちが選ぶクルアニ山岳エリアでの撮影の拠点となるのが、広大なクルアニレイク湖畔にポツンと建つクルアニロッジとなります。

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クルアニロッジから望む国立公園の山岳エリア。

 オーロラはいつ、どのタイミングで出るかはまったく予測不可能。そのため、オーロラが出現する撮影地の目の前に滞在して安全に待機できることは、これ以上もないほどのメリットとなります。


point2:ロケハンと方位のチェック。

 撮影場所の下調べはとても重要! 夜間、暗い中で行うオーロラ撮影では、日中の明るいうちに撮影地周辺の環境を確認をしておくことがとても大切ですね。夜間、手探りで移動するのは怖いものですが、事前に周辺の環境を見ておくだけで安心感が格段に違うものです。オーロラが出現してくると思われる方位の確認を済ませたら、大体の構図を決めておくのも絵作りのテクニックの一つです。

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 明るいうちに雪の深さや足場の悪い場所をしっかりとチェックし、三脚を立てる場所をある程度決めておくと良いです

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 もちろんオーロラは北の方角に出ることが多いため、撮りた構図の方角を確認することは大切です。方位はスマホのアプリで確認できるレベルで十分。しかし、オーロラ爆発などの強いオーロラが出ると、方位も関係なしに頭上に降り注ぐことも珍しくないですよ。


point3:試し撮りと構図の確認。

 オーロラが出たらいよいよ撮影開始です。しかし、ここからが難しいところであり、最も大切な部分です。明るいうちに構図を決めたとしても、暗い中でファインダーを使いながら構図を確認するのは、なかなか難しいもの。水平の取れていない写真はオーロラ写真で良くある失敗例ですが、せっかくの素晴らしい風景でも下のような写真では台無しです....
 
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 水平を取りながらも山を含めた構図を決めるには、やはり小まめに撮影して写真を確認するしかありません。撮影とカメラモニターでのチェックを繰り返し、欲しいオブジェクトがきっちり入っているかを確認しましょう。



point4:様々な構図に挑戦!

 風景が素晴らしいと構図のアイデアは無限。中でも最も基本となるテクニックは、周辺オブジェクトを活用することですね。あまり風景を入れずにオーロラだけを撮影した場合は、誰がとっても同じような絵になりがちです。しかし、風景写真と同じように周辺の環境をうまく取り入れ、バランス良く絵作りをすると写真に個性が出しやすいですよ。構図のポイントはいくつかありますが、主役のオーロラが写真の7割から8割を占め、残りにオブジェクトが入るようにすると良いです。

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山がない右側に枯れ木が来るように構図を調整。
単純に山岳風景としてだけでも素晴らしい場所ですが、オーロラも合わせて撮影できるなんて凄いことですね。

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こちらは月と山をバランス良く配置した例の一つ。これでも十分素晴らしい写真ですが、何かもう一工夫が欲しいですね。
こういう時は思い切って縦構図に切り替えてみると良いです。

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縦構図にすることで、山の存在感が増したと思いませんか?
オーロラが山に降り注ぐように感じる作品となりました。

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一度構図を決めたら露出を調整しながら何枚も撮影をしてみましょう。
強いオーロラは見る見る変化し、その都度周辺の明るさも微妙に変化していきます。
撮影時間を延ばすことでオーロラが強い光の束のようになり、また違った作風になりますね。

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クルアニレイク湖面から超広角の魚眼レンズでワイドに撮影。
魚眼レンズは撮影範囲が広いため、どうしても余分なオブジェクトが入りやすいのですが、
広大な湖の上から撮影することで、巨大なオーロラの全容を捉えることができています。
これだけの広さで撮影できるのも、クルアニ国立公園の魅力の一つです。


point おまけ:星空とマジックアワーも一緒に楽しみましょう。

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 星空撮影はオーロラ撮影における楽しみの一つ。クルアニの山岳エリア周辺には町はおろか集落なども一切ないため、完全に手つかずの大自然が広がっています。そのためオーロラの発生を待っている間は、満天の星空の撮影で飽きることがありません。

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 オーロラが弱い時は、あえて長時間露光の撮影に切り替えるのもいいですね。こんな時は北極星を見つけて構図に含めながら、長時間のバルブ撮影をすると、想像もしなかったような不思議技な作品ができあがることもあります。

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 素晴らしい風景であれば、やはり自分を入れて撮影したくなるものですよね。世界遺産の山々と星空にうっすらと光るオーロラ。こんな写真が撮れたらインスタ映え間違えなしです(笑) オーロラと人物を一緒に撮影する場合は露光時間の調整が難しいため、少し慣れと工夫が必要です。失敗を恐れずに何度もトライしてみるとよいでしょう。
 

 さてさて、撮影好き、山好きの方はもう気になっていると思いますが、こんなロケーションですから当然朝焼け夕焼けも一級品です。北緯61度という高緯度のこの場所では、マジックアワーと呼ばれる黄昏の時間がとても長いという特徴があります。空や山がピンクに染まりやすいんです。

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 いかがですか。オーロラ撮影地としてのクルアニ国立公園の魅力が伝わりましたでしょうか? アラスカ、北欧、イエローナイフなど、世界にはたくさんのオーロラ鑑賞地がありますが、『世界遺産の山岳風景とオーロラ』というフォトジェニックな撮影が同時にできる場所は極めて稀です。そういう意味では、まさに究極のオーロラ鑑賞地と言っても過言ではないでしょう。

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 オーロラ撮影に情熱を燃やすカメラマンの方々、是非、クルアニ国立公園でのオーロラ撮影に挑戦しませんか? 個人では訪れることの難しい広大な大自然が舞台ですが、私たちヤムナスカと日本のアルパインツアーが共同で作り上げた世界で唯一のクルアニ国立公園オーロラツアーなら、安心してオーロラ撮影に没頭していただけることでしょう。

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ロッジ上空に降り注ぐオーロラ爆発。

 広大なクルアニレイク湖畔に佇むクルアニロッジに滞在し、思う存分にオーロラ撮影を楽しむ。ロッジから一歩外に出るだけで、そこには世界で最も素晴らしいオーロラ鑑賞地が広がっています。最後に、きっちりとツアーの宣伝をして、この記事を締めくくりたいと思います(笑)

大自然に包まれる宿 クルアニロッジ の詳細はこちら。


ヤムナスカ・ガイド堀口 慎太郎 (ほりぐち しんたろう)
ガイドプロフィールはこちらから。


by ymtours | 2018-11-24 09:47 | オーロラの旅


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