2014年夏シーズンを終えて【棚川幸子】

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2014年夏シーズン、ヤムナスカでガイドとして日本の皆様をご案内した棚川幸子(たながわゆきこ)です。
この場を借りて、カナダでの初めての夏シーズンを振り返ってみたいと思います。

5月にカナダへ初入国。一年間仕事や勉強など好きなことができるワーキングホリデーのビザで入国しました。まだまだ寒く、「まだカナダは冬なのかな?」と思うくらい。到着直後に降った雪のおかけで、3年ぶりのスキーも楽しめました。

5,6月はカナダでガイドとして働くための資格取得と地理を覚えるための下見などの準備期間でした。この資格取得は個人の資格となるため、$1000ほどの自己負担が必要です。まずはカナダ国立公園内でガイドをするために必須である、Interpretive guide certificate(全4日間の机上とフィールドでの講習、約$550)、First aid certificate (2日間の救急法講習、約$130)を取得。また、ヤムナスカではガイドが大型のVANを運転し、お客様をご案内するため、商用車用の免許(Class4、免許書き換え、健康診断もろもろ合わせて約$400)も必要です。こちらも10数年ぶりに路上試験を受けました(もちろん一発合格!)。 以上の資格・免許がそろって、初めてガイドとして国立公園内でお客様をご案内できます。
※このinterpretive guide の講習はとても意義のあるものでした。クライアントを安全に、かつ楽しくガイドするには?ということを、受講生みんなでディスカッションをしたり、デモンストレーションをしたり、自分の体を使って学びます。更に、カナディアンロッキーの歴史や自然体系の知識なども習得する必要があり、とても濃い内容の講習です。これらの知識および技術を習得した者だけが、interpretive guide の資格を与えられ、国立公園内を案内できるのです。

5月の後半にスタッフトレーニングで、社名でもあるヤムナスカ山へ。スタッフみんなでハイキングをしながら、インタープリテーション(自然解説)の方法、緊急の場合の対処法などを確認しました。その後、6月は先輩ガイドのツアーに同行したり、ジャスパー方面までトレイルや休憩ポイントの下見に出かけていました。OFFの日にはやっと雪がとけて歩けるようになった近場の山に登ったり、ロッククライミングに行ったり、カナダで新調した自転車でサイクリングをしたりと、短いカナダの夏をプライベートでも楽しんでいました。

7月からいよいよ仕事がスタートし、一か月は飛ぶように過ぎて行きました。ハイキングコース上にはまぶしい緑の絨毯の中に初夏のお花が咲き乱れ、背後には険しいカナディアンロッキーの雄姿。これぞカナダ!という景色をお客様と楽しむことができました。今年の7月は例年以上に暑く、雨の少ない月だったようで、お客様にとっては天気にも恵まれ、素晴らしいハイキングをたくさん経験していただけました。一方で乾燥した日が続いたため、山火事が各所で発生し、一時は高速道路も閉鎖されるといった事態に。

8月は少しツアーが落ち着き、長めのお休みを頂くことができたので、個人的にキャンプやテント泊縦走などを楽しむことができました。※OFFの日でも山を歩くことが好きです。
特に印象に残っているのが、カナディアンロッキー最高峰の「マウントロブソン」の麓をテント泊をしながら歩き、「スノーバードパス」という峠までトレッキングを楽しんだ3泊4日の旅です。氷河が大好きな私にとって、目の前に迫る大迫力の氷河とマウントロブソンの雄姿、そしてスノーバードパスからのリーフ大氷原(氷の原っぱ。ここから氷河が流れ出します)は感動の連続でした。
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                         圧巻のロブソン氷河

9月にはユーコン支店へ出張。会社で使うVANを3日間かけて、ユーコン支店のあるホワイトホースまで運転して行きました(走行距離2400km)。町と町の間には何もない、あるのはただただ自然。カナダらしい「Wilderness」を体感するドライブでした。ユーコン支店では赤と黄色が美しい「ツンドラ紅葉」を楽しむハイキングや、ゴールドラッシュの歴史を追いかけるツアー、オーロラ鑑賞など、新たしい経験をたくさんすることができました。人生初のオーロラはやはり記憶に残ります。

9月中旬にロッキーへ戻ってからは、シーズン終わりまでのラストスパート。ユーコンに続いて、ロッキーエリアも黄葉(ロッキーエリアはポプラとカラマツの黄色が見事です)が始まっており、これに合わせてハイキングを楽しみました。キャンプツアーのお客様の荷物持ち(ポーター業務)や、山小屋滞在型ハイキングツアーの料理係(クック)など、いつものハイキングガイド以外の仕事も新鮮でした。

そして気づけば10月。多くの方に助けられ、無事夏のシーズンを終えることができました。一緒に感動を共有して頂いたお客様、ヤムナスカの皆さん、山登りやクライミングを教えてくれた友人、みんなに感謝しています。ありがとうございます。ニュージーランド、スイスのガイド経験を活かすことができ、いい仕事ができればその分また仕事をもらえ、忙しく過ごした夏でした。資格取得の自己負担と旅費・保険などを含めて、初期の出費は辛かったですが、シーズン終わりの収入とでプラスマイナス0になった計算です。趣味の自転車を買ったり、クライミング用品を買ったり、ロードトリップ、山歩きに行ったりとカナディアンロッキーを満喫でき、貯金はできませんでしたが、たくさんの経験と思い出で個人の経験値としてはプラスになった半年でした。
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                 クライミングはこれからもっと上達したい!

今後は、名残惜しいですがカナダを離れ、もう3シーズンを過ごしているニュージーランド南島へ戻ります。
あちらはこれから夏になります、カナダでの経験を活かして、新しく出会うお客様へ山歩きの素晴らしさをお伝えしたいと思っています。

短い間でしたが、ありがとうございました。また、どこかで会えることを願って。

棚川幸子(たながわ ゆきこ)
by ymtours | 2014-10-14 02:36 | その他


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